ちなみに伝統的な櫂は水かきの部分が幅7〜8cm、長さ65〜70cmであるが、新しい櫂は幅15cm余、長さ30cmで櫂の先が持ちやすいようにT字型になっているものもある。また地域によっては中間を取り、櫂の幅12cm、長さ40cmくらいのところもある。とにかく現在は競技偏重に傾き、伝統を徐々に排除する方向にある。この問題は沖縄本島にかぎらず石垣でも問題になっている。
競漕舟はサバニという軽捷で農民も漁民も使用する沖縄特有の舟で、本来は到り舟であるが、現在は準構造船である。現在も漁船として使用しているところもあるが、競漕舟は専用船でほとんどの地区で2〜3隻所有している。
乗員は漕ぎ手、大櫂(舵取り)、鐘打ち、旗振りの10〜12人である。
レースは本島では3隻でおこなわれるところが多いが偶然だろうか。また、八重山諸島では豊年祭、節祭ともに2隻でおこなわれるところが多い。
なお、サバニの語源は『民俗大辞典』によれば、「サバ(鮫)を捕る勇壮な舟、すなわち、サバブネの意か、サブネ(狭舟=小舟)か、スィブネ(椎舟)の転訛とも考えられるが定説はない」と記している。