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婦人は高齢の者から小学生までである。頭には手拭いをつけ、その上を稲藁でハチマキ状に巻く。また稲藁でタスキをつくり、腰にも巻く。各地区の婦人たちが入り交じって「ウンガミの歌」を歌いながら踊る。やがてレースが近づくと婦人たちは各地区に別れて、自地区の舟を迎え、応援するため海中に歌い踊りながら入る。

図ったように7,800m離れた屋古から舟がスタートする。最初はグナバーリーである。このレースが終わると、今度はウフバーリーが行われる。舟には乗員と神人が乗るが、神人が乗っていない舟もある。かつては1隻に数人乗ったというが、今は神人の数も少ないため、乗るのは僅かである。

当地の舟は他地域に比べ大きいことと漕ぎ方が珍しいことが興味をひく。舟が大きいことは当然乗員が多いことを表しているが、木造のサバニでは当地の舟が沖縄最大であろう。それでも乗員の体格が大きくなり、従来のような座位がとれなくなり、船縁に座位する当地独特なものになっている。もう一つは漕ぎ方である。競漕が盛んな地域では勝敗を意識して漕ぎ方が代わってきていると思われるが、ここでは競争とはいえ、櫂をはね上げ、前方からみると、孔雀が羽を広げたような形になる。これは競争というより漕ぎ方の美しさを表している。当地では古くからこのような漕ぎ方が受け継がれているという。つまり本来この行事は競漕というより儀式がメインであったことを想像させる。

競漕舟が塩屋の浜に到着すると、神人を背負って丘に運ぶ。同時にレースの終わった舟は漕ぎ手達がお互いの健闘をたたえあい櫂を合わせてカチカチとならす。しかし、神人らの陸上からの行列が塩屋の浜にさしかかると、櫂の打ち合いを止め、静まり、行列に手を合わせる。そして行列は塩屋の集落の反対側にある兼久浜に向かい、そこで儀式を行い行事を終わる。

一方、塩屋の浜では再度バーリー競漕を行う。しかしながら、最初のような緊張感はない。こうして儀式を終了し、つぎに余興に小・中・青年の沖縄相撲が行われる。この行事は国の重要無形民俗文化財である。

塩屋誌編集委員会『塩屋誌』第1集平成11年7月

 

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