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2) 航行船舶の追尾で偽像に乗り移る問題の対策

「JIS造船用語(航海機器編レーダー)F0036-1982」では、偽像はレーダー波の主ビーム以外により、又はレーダー波の多重反射などによってレーダー表示面に現れる不要な映像と説明されている。従って、1局のレーダー映像のみを用いて偽像を除去する方法は無かった。レーダ局を別の場所にもう1局設置し2つのレーダーの映像の位置の相関等によって、異なった位置に発生する偽像を除去する方法は周知であるが、この方法では別の場所にレーダーを設置する必要があり、費用等がかかるという問題がある。そこで別の場所にレーダーを設置することなく偽像を除去することが可能で、経済性にも優れたレーダーの偽像を除去する簡単な2つの方法を次に示す。

1] レーダーから同一方位で遠方の映像は多重反射による偽像とみなして除去する方法

レーダー電波の多重反射による偽像の発生原理を用いて、この原理による偽像を除去することが可能となる。なお、実像も偽像とみなして除去してしまう可能性はある。

2] 隣接レーダーによる物標映像の位置との相関によりレーダーの偽像を除去する方法

レーダー電波の多重反射による偽像は自局レーダーと隣接局レーダーでは発生位置が異なることを用いて隣接局レーダーの映像が無い位置の映像は偽像とみなして除去することが可能となる。なお、対策可能となる海域は既設の隣接レーダーの処理海域と重複している海域内となる制約がある。

下図はこれら状況の参考図であるが、航行している船舶の追尾でレーダー電波の多重反射による偽像に乗り移る問題は、これら2つの方法で偽像を除去し、簡単に解決できると思われる。

 

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図4.5.3 レーダー電波の多重反射による偽像を除去し偽像への乗り移りを防止する対策

 

 

 

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