日本財団 図書館


第1章 調査研究の概要

 

1.1 目的

平成10年度の調査研究では、我が国周辺海域を含め世界的に高速の貨物船等(以下、高速船という)の就航が増加しつつある状況下で、現在、海上保安庁で運用中の船舶通航業務システム(VTS)における、高速船を監視対象にした場合の問題点と対応策について、次の検討を行った。

・現状での追尾の限界の調査

・我が国及び世界における海上輸送の高速化の動向と運航状況等の調査

・世界における高速船への対応状況の調査

・追尾の目標の設定

・対応策の検討

・船舶通航業務システムヘの適用方法と問題点の検討

この結果、対応策として新方式のレーダー案を考え、これを船舶通航業務システムへ適用した場合の問題点をとりまとめたところである。

 

平成11年度は、この方式を採った場合の船舶通航業務システムにおける新方式レーダーの研究開発について調査研究を行うこととし、新方式レーダーシステムの検討として次の5項目について行った。

・設計上の問題点

・船舶通航データ収録装置の試作、データ収集、データ解析

・情報処理上の問題点の検討

・シミュレーションによる考察

・船舶通航業務への具体的適用

この結果、実績のある既存の追尾技術の拡張によって、新方式レーダーによる高速船の追尾が可能であることをシミュレーションにより確認した。

 

平成12年度は、新方式レーダーの船舶通航業務システムヘの採用を行うにあたって、種々の実際的な問題点を明らかにするために、現状調査を行うこととし、主に次の項目について検討を行った。

・レーダー系のインターフェースの検討

・3秒周期となるレーダー映像(主に表示)処理系の検討

・既存の追尾方式の改良及び追尾パラメータの変更等を含む新たな追尾方式の検討

・新方式レーダーの船舶通航業務システムヘの採用についての検討

さらに、平成10年4月から平成13年3月にかけて実施した「船舶通航業務における高速船の監視方式の調査研究」の成果の全体のとりまとめを行った。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION