4.1.2 安全関連短文メッセージ
安全関連短文メッセージは、一定様式又は自由様式の文章メッセージで、特定の名宛人(MMSI)あてか、その海域内の全船舶あてである。その内容は、例えば視認される氷山、或いは浮標が定位置にないとかという航行の安全に関するものでなければならない。文章は出来る限り短くしなければならない。このシステムでは1メッセージ当たり158文字まで認められるが、メッセージが短いほど発信のための空いているスペースを見つけ易い。全ての可能性について応じられるように、これらのメッセージについては、今のところこれ以上の制約はない。
文章メッセージについては、運用者の受信証を求められることがある。
安全関連短文メッセージは、海上安全情報放送の補足手段に過ぎない。しかし、その重要性は軽視してはならない。このような安全関連短文メッセージの利用によって、全世界海上遭難安全システム(GMDSS)の要求条件を軽減するものではない。
運用者は入ってきた安全関連メッセージを確実に表示し、考慮し、必要に応じて安全関連メッセージを発信しなければならない。
SOLAS第V章、規則31(危険メッセージ)案によれば、
「危険な氷山、危険な遺棄物、又はその他の航行に直接危険を及ぼすもの、或いは…に遭遇した各船の船長は、その情報を、利用し得るあらゆる手段を使って、付近の船舶並びに所管当局に通報する義務がある。」
通常これはVHF音声通信によって行われるが、「あらゆる手段を使って」ということから、これに加えてAISの短文メッセージを利用することも考えられる。これには理解の困難を、特に正しい位置を記録させることによって、減少させるという大きな利点があるからである。
4.1.3 秘匿性
データを手動で入力する時は、特に、国際的な協定、規則或いは規準が航行情報の保護を規定している場合は、その情報の秘匿性を考慮しなければならない。
4.2 VTSから発信されるデータの内容
4.2.1 疑似AIS情報
VTSセンターは、AISを持たないでVTSレーダーでのみ追尾されている船舶の情報を、AISを装備した船舶にAISを通じて送ることになると思われる。VTSによって放送される疑似AIS物標は、そのことを明瞭に判別できるものでなければならない。第三者によって中継された情報を使用する場合は常に特別な注意が必要である。これらの物標の精度は直接受信した実際の物標のようには正確でないし、情報の内容も完全ではないと思われる。