4.2 コンテナターミナルの生産性の評価
(1) コンテナターミナルの運営状況の比較
今回の現地調査で訪問した港湾は、先進国ではコンピユーターの活用による最新の自動化コンテナターミナルと、世界的なコンテナリゼーションから取り残された港湾も含まれており特に、先進国のコンテナターミナルの場合生産性の向上に日夜努力しており、何れも時間当たりの荷役能率は25コンテナ〜30コンテナの能率である事の回答を得ており、開発途上国の場合は設置しているガントリークレーンの性能にもよるが時間あたり15コンテナ〜18コンテナ程度であり、特に船積荷役の場合積荷役計画技術の未熟さの為に能率が極端に低下している。
なお、ヤード荷役についても先進国と途上国の格差が大きく税関の通関手続きとコンテナターミナルゲート業務の連携の拙さが影響しているものと考えられる。
ヤード荷役の生産性の向上には、充分なコンテナヤード面積の確保が出きるか否かにより左右されるが途上国の場合、コンテナの取扱い量に対しコンテナヤードの拡張整備が追いつかず生産性を更に低下させている。
今回の調査対象港としては、世界コンテナ取扱い港湾として規模最先端の規模と施設を誇る欧州諸港湾と、現在施設面で最も遅れている地域であるカリブ海諸港のコンテナターミナルを調査した。
最新コンテナターミナルであるECT = EUROE COMBINED TERMINAL (ロッテルダム)とカリブ海諸国コンテナターミナルを比較すると
1] パナマ大西洋岸マンザニーロ・コンテナターミナルの場合開港して数年経過したのみであるが、荷役機材等については最新式で大きな相違はないが、コンテナの受け渡し事務手続きシステムが、港湾物流の迅速化に対応出来ないシステムであり旧態依然とした制度で行われており、特にゲート業務処理の効率化の必要性を感じた。
2] ジャマイカ国・キングストンコンテナターミナルの場合、地理的な優位性があり1970年代初期に施設が建設されカリブ海地域では歴史ある港湾であるが、前述のパナマ同様トランシップ(積替コンテナ)の比率が大きくゲート業務の混雑度は左程感じられなかったが、全体的に作業のシステム化の確立がなく、先進コンテナターミナルと比較してコンピュターの活用とコンテナターミナル要員の訓練の必要性を感じた。
3] キューバ国・ハバナ港コンテナターミナルは今回の調査対象港湾で最も施設・運営面で遅れている港湾であり、現状では取扱いコンテナも微小でありそれなりに運営されているが、今後予想されている、コンテナ物流の増大に対する対応が全く取られていなく、港湾施設全般に陳腐化が進行しており、早急な対策の必要性を感じた。
全般的には使用している施設・設備等が同等な性能を有する荷役機材であっても、運用する人材の訓練と、コンピユターによる管理・運営並びに関連する公的機関とネットワークの構築に大きな差があり、今後の大きな課題である。
(2) 生産性の評価方針
a. コンテナターミナル規模による港湾の分類
世界のコンテナ港湾には年間百万TEU以上を取扱うコンテナ港湾と、1万TEUに満たない小規模港湾があり、表-2にはコンテナの取扱い量によってコンテナ港湾としてランク付けをしている。表-2ではランク毎の港湾数を示したものである。
年間3百万TEU以上を扱う港湾が10港、百万〜3百万TEU未満の扱い港湾が42港である。上位10港は何れも北米・アジア及び欧州をリンクする東西貿易の主要航路筋に位置する港湾であり、第二グループの42港湾についても、この航路筋に位置している港湾が多くあり、この航路筋より外れた港湾は12港あり、マニラ(フィリピン)、タンジョンプリオク(インドネシア)、ラムチャバン(タイランド)及びメルボルン(オーストラリア)等であるが、これらの港湾は東西主要航路に隣接しているか、又は南北航路の主要港湾である。