一方自然はそんな事情にはお構いなしである。海岸の砂浜には野生のオットセイ(大多数がアシカだという資料もあり、実はどちらであったのか不明)が群れ、人間が近寄っても逃げようともしない、それどころか声を立ててあくびなどしている有様である。子供のオットセイは海中で遊んでいるし(写真2)、やはり子供は子供だなあと、変なところで感心してしまう。イグアナにも何匹か出会った。自然が保護されていると感じる。一般観光客はツアーに参加する以外には入りにくいし、ツアーを制限したり、ガイドが付く事を条件にしたり、入島税を取ったりして入島者数をコントロールしている。今回訪れた海岸も、ツアー客に会わなかったところを見ると地元の人間しか入れない場所だったのかもしれない。案内してくれたのは観測所の職員で、ガラパゴスで生まれ育った人である。それこそ子供の頃から遊び慣れた場所なのであろうか、岩陰に隠れているイグアナを引っ張り出したり尻尾を持ってぶら下げたりと、見ているこちらがハラハラするほどであった(写真3)。もっとも真似をしてぶら下げて見た同行者もいたが(こんなことをしてよいのか!)。
夕食にはビールで乾杯をして大きなロブスターを食べ、降るような星空を見ながら宿舎へ帰った。翌朝も抜けるような青空。夢のような短い滞在を惜しみつつグアヤキルヘ戻った。
4. グアヤキル経由ペルーへ
帰りはグアヤキルまでで飛行機を乗り換え、直接ペルーの首都リマヘ向かった。
キトーの項で気候が快適だと述べたが、グアヤキル、ガラパゴスについても、ともに標高は低いにもかかわらず気温の点ではそれ程暑く感じない。これは次の訪問地ペルーのリマでも共通する傾向である。この理由は海流にある。南米の西海岸には寒流であるフンボルト海流が流れているため、気温はさほど高くならないのである。こうして、南米、それも低緯度地域は暑いだろう、という想像はもろくも崩れ去る。
実はキトー滞在中にたまたまペルーのフジモリ大統領がエクアドル来訪中であった。それも我々と同じホテルに滞在されていたのである。直接目に触れる機会はなかったが、私の部屋がホテルのエントランスの真上だったこともあり、出入りの様子はよく見えた。新聞に大きく写真が出たり、テレビに出演したりで、素顔に接することができ親しみを感じた。そのペルーへこれから向かう。ペルーに関しては、また別に機会があればということに致したい。
5. おわりに
エクアドル特にガラパゴス諸島について記事を書いて下さいと依頼された。JTCAとしても調査で行くのは珍しいという。確かにそうかも知れない、と引き受けたのはよいが、記事になるのが遅くなり担当者にはご迷惑をおかけしたことと思う。この場をお借りしてお詫び致します。
また、この調査実施に当たっては、現地ならびに日本国内で多くの方々にお世話になりました。賛助会員としてご協力いただいた三菱商事(株)殿には特に感謝の意を表します。