日本財団 図書館


保健省の統計によると、バンコクだけで1時間に2〜3人が路上で負傷し、毎年国内で約700億バーツの経済的損失が発生しているという。交通事故はタイの死亡原因の第1位であり、驚異的な割合で今も増え続けている。

 

5) 非公式のパラトランジット

近年特に目立つ非公式のパラトランジットは、現在免許制もなく管理されない状態で非常に危険である。オートバイタクシーがヘルメットを着用しないなど多くが安全基準を無視しており、流れの速い車の間を縫って走る場合などは特に危険である。

 

3. 一般市民を含んだ都市交通の将来計画

現在の公共交通の問題を解決するために、関連の政府当局はいくつかの対策や事業に着手している。公共交通システムのキャパシティーを拡大しその質と効率を改善すること、さらに個人の乗用車の数を減らすと同時に大気汚染と騒音を軽減することを目指している。

 

1) 特定の種類の車両を減らす為の施策

定員が7名以下の車両や法人が登録する車両など、特定の種類の車両を減らすために、年間の自動車税や車両料金が引き上げられた。現在MOTCは内閣の承認を求めて提出する関連法律の改正に着手している。このプロジェクトは渋滞の原因となる新しい車両の購入の需要を減らすことを意図している。

 

2) 政府職員のための自動車サービス提供の促進

個人の自動車利用を減らすため、内務省・教育省・産業省・経済省の職員だけを対象としたオフィスバスの運行センターが提案されている。このサービスを利用する職員はその費用を負担する。現在一日に約7000人がバスを利用している。

 

3) 勤務地交換プロジェクト

自宅との移動距離を短縮するため、政府職員について他の職員と職務を交換することにより、より自宅に近いオフィスを選択する機会が提供されている。このプロジェクトにより公共交通への需要を削減することができる。

 

4) 空調付バスの購入

BMTAは公共交通の質を改善し一般のニーズに適格に応えるために、2000台の空調付バスを新規に購入する提案を受けた。MOTCはこれを承認し、最終決断の段階にある。

 

5) 民間セクターの参加

交通機関の運営に多くの民間セクターの参加を求め政府の負担を減らすことにしている。また、新型車両を導入する許可を与えて、人々の公共交通の利用促進を図る。

 

6) タクシーシステム改善プロジェクト

このプロジェクトの目的は、都市部で運行するタクシーの数を増やし、サービス水準を向上させることにある。無線をバンコクのすべてのタクシーに装備することにより、タクシーシステムの効率を上げることも含んでいる。このプロジェクトにより、タクシーによる移動がより快適になり、自家用車の利用を減らすことができる。また、ショッピングセンターや過密地域へのタクシー乗り場の追加設置も進める。

 

7) 大気汚染・騒音削減プロジェクト

DLTは他の関連政府機関や民間セクターとの協力により、公害問題を改善するための法律の強化とは別に、次のような施策に着手している。

●黒煙モニター政策

DLTの検査官が各所の道路に検査ポイントを設置し、車両の排気ガスや車体構造、運転手や職員を検査する。

●政府車両が原因の騒音・大気汚染モニター政策

この「その場でできる」検査サービスは無料で、その他の政府機関や民間機関も利用できる。

●自動車関連公害の削減をめざしたキャンペーン

BMTAのバス車庫において展示・無料車両検査・エンジン調整サービスを提供し、車両の排気ガス・騒音・車体完全度をその場で検査する、同時に「主要40道路でのゼロ煤煙汚染」キャンペーンを行っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION