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もう1つの例は官庁街であり、種々のサービスや施設が見られる。仕事に行く前に、行政サービスの全てを受けることができる。同じくマストランジットの使用を奨励するであろう。日本でのケースを紹介する。バスターミナル、鉄道駅、商業施設、業務ビルの複合施設である。この種のインターチェンジ施設は交通面からのみでなく、都市開発の面からも重要である。

我々が他の都市の経験から学べることを要約したい。最初に、計画段階で、路線システムと開発の時期に関して合意を得ていることである。アジアの都市の多くで、政府が実際にシステムを実現するまでに長い時間を要した。シンガポールでは、論議が1960年代に始まり、全てのシステムが完了するまで20年を要した。これが意味することは、全ての市が苦闘しているということで、時間がかかる。そのためにマストランジット開発には関係者全てを巻き込んだ優良な計画が必要なのである。さもなければ、早期の決定が振り出しに戻らざるを得ない状況に陥ることもある。特にHCMCでは、計画段階で多くの項目を考慮しなければならない。運営と管理の段階での関心事は、運営と管理のための資源である。しかしマストランジットに関して、他の市における技術的問題はない。問題は常に管理にある。

資金供給に関して、物議をかもしている多くの問題に直面している。我々は人々の金銭的余裕について考えなければならない。公共交通では運賃が妥当なレベルに設定されるべきである。同時に事業の採算性に関して考慮しなければならない。外部からの資金調達も課題である。実際に政府にとっては、ジレンマであるが、解決策はない。政府がマストランジット開発をどの程度助成するか、事前に準備ができていることが良いことであり、また最も重要である。

以上がプレゼンテーションと次のステップヘの提言の要約である。HCMCでは、非常に多くの調査がされているため、こうした調査全てを長期的で合意され得る政策と戦略に統合しなければならない。マストランジットに焦点を当てた公共交通全体として、HCMC市街地が境界を越えて非常に急速に拡大しているため、HCMC自体だけの調査するのではなく、HCMC都市圏に目を向けるべきである。また、土地収用と住民移転に関しての組織の枠組みを形成することが課題である。計画段階では、このことは、あまり問題視されないが、しかし実施段階で非常に重要な問題となる。第3の課題は、優先コリドーでのF/Sの実施である。

 

 

 

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