メトロ―公共交通の大黒柱
メトロの利用は毎日の動力による移動の10%を占めるにすぎないが、メトロのないサンパウロは想像もできない。3路線で総延長50km以上になるメトロは、世界でも最も効率的な地下鉄システムの一つに挙げられている。その性能は利用者のみならず、利用しない人たちからも評価されており、世論調査でも常にSPMR内で最も優れた交通サービスと位置づけられている。
経済影響評価の専門家が行った最近の調査では、いくつかの興味深い点が指摘されている。メトロが利用できなくなり利用者が他の交通機関、たとえばディーゼルのバスや乗用車に乗り替えざるを得ない状況になったと仮定した場合の影響を推定した。
大気汚染…大気汚染物質が年間11,300トンも余計に排出され、健康への被害が深刻化して医療費が年間2億8,000万レアル増加する。
燃料消費…利用者の80%がバスに乗り替えるとすると、3,000台のバスを増やすことになり、年間約3億7,500万リットルのディーゼル燃料を消費する。これは金額にして1億3,000万レアル、年間590万バレルの石油輸入に相当する。さらに、乗用車についても年間2,000万リットルのガソリンが余計に消費され(年間2,500万レアル)、合計で年間1億5,500万レアルが燃料として消費されることになる。
運賃値上げ…交通渋滞と運行速度の低下によりシステムの効率が悪くなり、これを補うのに年間4億6,000万レアルのコストが必要になる。