想定された劣化に対して、一部の例(排気弁の吹抜けおよびピストン温度上昇)を除けば、部品の劣化によりNOx排出率は減少している。従って日常的に発生するNOx関連部品の経年劣化の場合、NOx排出率は減少するものと考えられる。
なお、SR235における実機の運転条件は、実際の運航の場合と異なるのでこの結果の利用については注意が必要である。
(3) NOxテクニカルコード上の解釈
NOxテクニカルコード上の解釈については、パラメータを変更する場合の具体的な取扱い等がNOxテクニカルコードに規定されていない。このため、従来の知見・データ等から推測して、変更後のNOx排出率が、変更前と比べて加するか増加しないかによりその対応方法が異なると考えて検討を行った。
増加しないとみなされる場合には、社内試験データ等を活用し、増加しないことを証明することによって、検査員立会による承認試験は必要ないものと考えられる。
これに対し、増加するとみなされる場合には、基本的には承認試験が必要であると考えられる。ただし、あるパラメータの変更によりNOx排出率は増加するが、グループまたはファミリーにおいて親エンジンに変更はなく、かつ、メンバーエンジンのNOx排出特性の序列に変更がない場合には、そのパラメータの変更によるファミリーまたはグループ全体のNOx排出特性を定性的に把握できるものと考えられる。従ってこのような場合には、少なくとも1ファミリーまたはグループに対して承認試験を行うこととし、他のファミリーまたはグループに対して同様の変更を行う場合には、社内試験データの提出で認められるものと考えた。
(a) パラメータ変更時の作業・手続き
上記の解釈から予想したパラメータ変更時の作業・手続きフローを図2.2.8に示す。
基本的にはパラメータの変更を反映させる個々のエンジンに対して、そのパラメータ変更時の作業・手続きが必要となるが、陸上の同型のエンジンを使用した認証試験により適合が確認されれば、船舶に搭載されているエンジンに対しては、初回検査のみの実施により適合性は確認できるものと考えられる。