(c) 船舶の傾斜
右舷に20度傾斜した場合及び左舷に20度傾斜した場合について解析を実施する。
3.7 評価基準
3.7.1 許容総避難時間
避難経路配置が充分な機能を有すると判定される総避難時間のクライテリアを許容総避難時間と呼ぶ。許容総避難時間は13分とする(IMO-暫定ガイドライン参照)。
Note:IMOガイドラインでは、一時間以内に生存艇により海上に避難することを要求している。ガイドラインにおける救命設備の使用時間の規定値から、生存艇乗艇場所までの避難時間を算出し、安全係数を考慮すれば、許容総避難時間は13分となる。
3.7.2 許容滞留時間
避難経路配置が充分な機能を有すると判定される最大滞留時間のクライテリアを許容滞留時間と呼ぶ。許容滞留時間は、今後の課題である。
Note:許容滞留時間は、シナリオによって変わる可能性がある点に留意されたい。本研究の結果だけでは、計算例が不足しており、各シナリオにおける許容滞留時間を設定するには至らなかった。許容滞留時間を設定するには、さらに多くの船について避難経路解析を実施し、「最大滞留時間」を求めてみる必要がある。A.757(18)からは、「一人当たり1cm」の考えが見て取れる。これは、流出係数を1.5person/(sec・m)とすれば、「許容滞留時間は約67秒」、流出係数を80/60person/(sec・m)とすれば、「許容滞留時間は約75秒」であることを意味する。
4 解析手法
解析手法(プログラム)が備えるべき基本的機能としては、以下の二つが挙げられる。
(1) 総避難時間を求められること。
(2) 避難経路上の各代表点における最大滞留時間を求められること。
また、避難経路を正しくモデル化できること、及び、人間の初期配置を正しく考慮できることも必要である。解析においては、避難は整然と行われるものとする。
Note:各種の解析手法と評価指標の計算精度の関係については、現在研究中。結果によっては、さらに詳しく解析方法を規定する、または、評価指標を変更することがあり得る。