・避難者の集団単位;同一の経路を用いる避難者ごとにグループ化する
集合場所までの避難経路が同一な避難者を以下のような一つのグループとした。
3階;計8グループ;3F-G1, -G2, -G3, -G4, -G5, -G6, -G7, -G8;G7, G8は乗員用宿泊室
4階;計2グループ;4F-G1, -G2
5階;計5グループ;5F-G1, -G2, -G3, -G4, -G5;G5は乗員用宿泊室
各グループに属する避難者人数は表3.2.1に示すとおりである。
・避難者歩行速度(m/s)
水平部分;1.0m/秒(;不慣れな空間での場合の標準値)
階段部分;上り・下り共に0.5m/秒
・避難経路上のネック部分の流動係数(単位時間・単位幅当たり通過可能人数;人/(m・秒))
水平部分1.5 階段部分1.33
・避難開始;全てのグループが同時とする
3.2.3 モデルシップでの避難時間等の計算結果
グループ毎の避難時間等は以下の指標として示され、計算結果は表3.2.1となる。
・集合場所(および避難経路途中の各部分;滞留が生じるネック部分など)への避難完了(および通過完了)の累積人数と避難開始からの経過時間
・滞留が生じるネック部分での最大滞留人数と最大滞留時間
ネック前で滞留(;歩行停止)する避難者人数の経時的な最大人数を最大滞留人数と呼び、その最大滞留人数がネック部分を通過し滞留が解消する(滞留0人)までの所要時間を最大滞留時間として計算した。主な計算結果は以下となる。
(1) 3階
集合場所までの避難完了時間の最長は、3F-G1 (;避難者人数104人)及び-G2 (;同104人)の142秒である。これらグループの3階集合場所までの避難経路(;平面的に対称で同一)は、階段(階段2-1, 2-2)で4階まで上昇し水平移動の後に階段3-1, 3-2で再び3階に降下することとなっており、4階での水平移動が長いこととネック部分での滞留時間の長いことによって、避難完了時間が4階のグループよりも長くなっている。隣接する3F-G3, 4は、避難者人数が32人多いが、避難経路が短く(;最長21mで集合場所到着)最大滞留時間も短い(;十分なネック部分の扉幅であるため)ので3F-G1, G2の半分弱の避難完了時間となっている。
(2) 4階
4F-G1, G2 (;平面的に対称;避難者人数90人)は避難完了時間が114秒である。特徴的なのはネック部分(;出口扉;幅65cm)での滞留時間が長いことで、最大滞留時間は避難完了時間の37%を占めている。