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この時、安全係数γは2.0、逆流係数δは0.30を使用し、条件として、tE>30minとなる。4FG1グループの数値からtEを計算すると、15.4minである。

 

3.2 建築防災計画指針

3.2.1 計算方法の概要

建築の設計実務に広く利用されている避難時間計算法を用いて、モデルシップA船の避難時間を推計した。この方法は、財団法人日本建築センターで実施されている建築防災計画評定(;建築基準法に規定される建築確認の際に、一定規模以上の建築物の場合などに実施される任意の設計審査;文1)で利用されている「建築防災計画指針」に示されたものである。

文1) 日本建築センター、新・建築防災計画指針、平成7年7月

(1) 建築防災計画指針での避難群集の扱い

避難行動特性の全てを計算に反映するのは実務設計の場では困難であるので、以下を仮定する。

・避難者は同一の密度内では均等に分布している。

・避難は一斉に開始される。

・あらかじめ設定された経路を通り、追い越し逆戻りはしない。

・集団の歩行速度は一定である。

・出口部分は流動係数(;定義は下記)で流れが制約される。

(2) 建築防災計画指針での計算パラメーターとその設定

・歩行速度(V)

集団の歩行速度で代表させる。標準値はV=1.0(m/秒)である。その他、その空間に慣れている集団では1.3、病院の患者や高齢者の集団では0.5という設定も採用される。

・経路の距離(L)

避難開始の時点でその避難者が位置する地点を経路の原点として距離を測る。

・避難者人数(N)

その空間の面積A(平方m)と人口密度P(人/平方m)の積として計算する。空間用途ごとの人口密度は、実測や什器レイアウトを基にした標準値がある。

・流動係数(K);本報告書の他の部分では流出係数という用語が使われている場合がある単位時間(1秒)単位幅(1m)当たり何人が通過可能かを示す。

標準値はK=1.5(人/(m・秒))である。

 

3.2.2 モデルシップでの計算条件

・避難者の滞在位置;夜間を想定し全員が宿泊室に滞在とする

・避難経路;図面中に記載の経路で固定

 

 

 

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