1 緒言・目的
SOLAS II-2章の改正により、1999年7月1日以降に建造される国際航海に従事するRORO船に対して、非難経路の有効性を設計段階で実証しておくことが要求されるようになった。これを国内に対して適用するにはきわめて曖昧な規定であり、その具体的な手順を本委員会で検討、また実務家に対して手法を周知させる目的で1年間のWGが設置された。その後、IMOのガイドラインが1999年1月にすでに発効していることから、現時点で新たな国内適用規則を設定することは、法制や技術施策の安定性から見ても、また短期間で性急に具体的手順を設定することも適当でなく、今後何らかのタイミングを見て法制化することとして、審議期間を3年間に変更し、十分に化学的な検討を行い、今後の実施に向けての準備期間とすることとした。シミュレーション手法として、群体、個体モデルの二つ、さらに、建築防災計画指針の手法、そしてIMOガイドラインの各方法につき、同じ船体に対して計算を行いその優劣特徴を探り、歩行特性に関する実験的な検討も行い、最終的な評価方法の草案を提案、今後の検討の基礎とすることを目的とした。
2 SOLAS条約および船舶設備規定
国際航海に従事する旅客船においては、SOLAS条約により、総会決議A.757(18)に基づき、階段の幅や踊り場の面積を確保することが従来より義務付けられていた。この総会決議では、当該階段を通過する各階からの避難者の人数を求め、これに適当な係数を掛けることにより当該階段を同時に通過するであろう人数を推定し、この人数に対して一人当たり1cmの幅(最低90cm)を持たせることが要求されている。
船舶設備規程122条の2の2および同検査心得において脱出経路の幅について以下のように決められている。
(1) 幅は、少なくとも60cmであること。
(2) 各甲板における幅は、下表に揚げる値以上であること。