3.6 縮尺模型圧潰実験と解析
船舶技術研究所で実施された扁平形状緩衝型防撓構造船首模型(Suezmaxタンカーの約1/4.5縮尺相当)とD/H VLCCの船側外板模型(約1/4.5縮尺相当)との準静的衝突実験に対応するFEM解析を実施した。縮尺模型とFEM解析モデルとを図3.6-1から図3.6-3に示す。FEM解析に際しては、縮尺模型の製作に使用した鋼材の実態強度計測値を採用している。
実験結果及びFEM解析結果とを図3.6-4から図3.6-12に示す。船側外板模型には凹損が生じるが鋼板の破断には至らない/扁平形状緩衝型防撓構造船首模型の準同心円状圧潰が安定的に生じるとの実験・解析結果になった。解析で得られた圧潰モード及び圧潰反力の履歴は実験結果と概ね一致している。圧潰反力の履歴の比較では、解析されたピークの出現がやや遅く且つ値が高めである。実験では扁平形状緩衝型防撓構造船首模型基部での定盤への固着が一様では無く偏当りが生じている(不均一な間隙発生が避けられない)ので、限界ピークの出現が早めで且つ値が低くなだらかな増減を繰り返す傾向にある。この点及び、縮尺模型の組立時溶接による残留応力と残留変形(実寸構造での影響は殆ど無くなる)とを考慮すれば、FEM解析の精度は十分に実用的な範囲にあるものと判断される。