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図5 近海規定をもとに甲板荷重の観点から推定した限定近海船の最小船首高さ

 

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図6 海水打ち込みの観点から設定した限定近海船及び沿海船の量小舶首高さの一例(Cb=0.68)

 

これら3つの指標で定められている甲板荷重はほとんど大差ないことや推定した発生確率がNK鋼船規則CS編で想定している発生確率と整合性がとれていることを事前に確認している。推定した限定近海船の船首高さと近海規定で定められる最小船首高さとの比を図5に示す。横軸は船長を表す。

これらの推定値を各船の実際の船首高さと比較したところ、今回計算対象とした船舶は全て沿海及び限定近海での必要量を満足している事がわかった。

 

(3) 限定近海船の最小船首高さの設定

これまでの結果から、打ち込み確率を満足するために必要な船首高さの方が甲板荷重の発生確率を満足するために必要な船首高さよりも大きくなる。よって、双方を満足するために、打ち込み確率をもとにして船首高さの設定を行う。

限定近海の船首高さについてこれまでの結果から、船長100m以上の船舶については船長100mでの係数0.78で一定とし、それより短い船舶については-0.0022×LPP+1.0とする。これを修正係数として近海規則で定められる最小船首高さに乗ずることで限定近海船の最小船首高さを決定する。

さらに、図2、3からもわかるように、沿海と限定近海で各々必要となる船首高さの比は船長にかかわらずほぼ一定となっており、今回の推定結果を基に求めたところ0.945となった。このことから沿海船の最小船首高さを設定するには、設定した限定近海の船首高さに沿海用の修正係数として0.945を乗ずることで沿海船の船首高さとすることとしてそれを図3及び図4にそれぞれ実線で示す。また、この設定手法で定められる限定近海船及び沿海船の最小船首高さの一例(Cb=0.68)を図6に示す。

 

5. まとめ

現行の内航船を用いて、打ち込み確率及び甲板荷重の長期予測計算を行い、海域の違いが及ぼす影響について検討を行った。その結果を用いて、限定近海を想定した海象で必要となる乾舷及び最小船首高さは以下の様に設定できると考えられる。

(1) 限定近海船の基本乾舷は、沿海船の基本

乾舷に修正係数として1.06を乗じた値とする。

(2) 限定近海船の乾舷にかかる諸修正は、沿海規定を用いる。

(3) 限定近海船の最小船首高さは、近海船の最小船首高さに、以下に示す修正係数を乗じた値とする。

修正係数:

○Lppが100m未満の船舶 1.0-0.0022×Lpp(Lppは垂線間長)

○Lppが100m以上の船舶 0.78

(4) 沿海船の最小船首高さを設定する場合は、上記により定めた限定近海船の最小船首高さに修正係数として0.945を乗じた値とする。

(本稿は平成12年度の日本造船研究協会基準研究成果報告会における講演に基づいております。)

 

 

 

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