この考え方に基づき求まる限定近海船の基本乾舷の一例(Cb=0.68)を図2に示す。
4.3 限定近海で必要と考えられる船首高さ
(1) 打ち込み確率による推定
沿海規定では船首高さに関する規定が無いため、近海規定で定められる最小船首高さをもとに限定近海での最小船首高さの推定を行う。
近海規定で定められる最小船首高さ(満載喫水線規則第58条)で近海を航行した場合の船首部の打ち込み確率を求め、これと同じ確率で限定近海を航行するために必要と考えられる船首高さを推定した。その結果を図3に示す。
同様に沿海規定に船首高さを設定する場合に必要と考えられる高さを近海規定の船首高さから推定した。その結果を図4に示す。船長が短くなるにしたがって比率が大きくなっていることがわかる。この結果から、船長の短い船舶ほど海象の違いが長期予測値に及ぼす影響が相対的に小さいと考えられる。
(2) 甲板荷重による推定
船舶が近海規定で定められる船首高さを設けて近海を航行した際の甲板荷重の発現確率を求め、これと同じ確率で限定近海を航行する場合に必要となる船首高さを推定した。なお、予測計算を行う際の出会い方位は、ここでは正面向波のみを考えた。
ここで、甲板荷重の閾値として設計水圧、IACSルールで規定されるバルクキャリアのハッチカバー強度(UR-S21,1997)、NK鋼船規則CS編第17条で規定される甲板荷重の3つを用いた。