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これらの対策としては、GPS、ECDIS、AIS等の機械システムの導入により各要員の機能を補強するとともに、BRM訓練等による各要員の連携が円滑にできる体制の整備が必要と考えられる。また、各機能が低下した場合に問題点を摘出するシステムの研究も望まれる。

 

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図2 各要員間の運携イメージ

 

4. 機関に関するニアミスと人的要因の関係

4.1 人的夏因と発生件数

機関に関するニアミスアンケート調査では、384件の有効回答が得られた。船籍別の内訳は、内航船191件、外航船193件で、内航・外航ほぼ同数であった。

機関関係のニアミスの原因別件数は、表5に示すとおり、機器自体に起因するものが約50%、運転と保全に起因するものの合計、すなわち、人的要因により発生したものが約50%で、ハードと人的要因の比率は概ね1:1であった。

人的要因とニアミスの発生比率を内航・外航で比較すると、運転に関連する事例は内航20%、外航21%で同程度であるのに対して、保全に関連する事例は内航20%、外航35%で、外航が15%高い。一方、機器自体に起因するものは内航59%、外航43%で、内航が16%高くなっている。これは、図3に示す背景によるものと考えられる。

運転関連では、内航・外航ともに機器の誤操作が大部分を占める。保全に関しては、内航で主機ディーゼルが35%と突出しているのに対して、外航では、補機類(27%)、主機ディーゼル(24%)が多い。外航船はプラントが大きく、主機以外の機器・部品数が多いため、補機類のトラブルが主機のトラブルと同程度発生し、内航船の機関室は外航船に比べるとシンプルで、主機の機器・部品の占める割合が多いことが理由として考えられる。

 

表5 機関関係ニアミスの原因

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