次の船歌にあるように、新河岸河の船運を支えていたものは、「九十九曲がり三十里」と云われるように、水路を幾重にも蛇行させ、水の流れを穏やかにして水量を確保し、舟が安全に運航できるようにしたことにある。次のような船頭歌に往時の舟運の盛んな様子が偲ばれる。
# 九十九曲がり仇ではこせぬ 通い船路の三十里
# 押せよ押せ押せ二挺櫓で押せよ 押せば千住が近くなる
# 着いた着いたよ新河岸の橋に 主も出てとれおもてもや
(5) 使用船舶
荷物を運ぶ船も、客を運ぶ船も基本的には船型が変わるわけではなく、船尾から艫(とも)、艫の間(二の間)と仕切られ、船首の方に世事(セジ)と呼ばれる船頭が生活する部屋があった。