そして、世界の主要なコンテナ港の多くは、さらに設備能力を拡大することを計画中で、14m以上の水深の大型コンテナ船専用バースが、2004年迄には、約20港に143バース、完成するものと見込まれている。更に、2000年3月の現在、今後の大型化を考慮し、多くの港湾が16m水深のコンテナー埠頭の建設計画を検討している。
このように港湾側は、船型の大型化にともなって超大型コンテナ船用バースを設置するであろうが、バースの使用料を含め、運航船社の経費負担の増加は避けられない問題である。そして、日本の港湾としての問題は、コンテナ船が寄港する主要港の多くが、水深を増大させる為に浚渫し、専用岸壁用の超大型コンテナ船用のバースやコンテナクレーンを新設するが、過大な設備投資を行なっても十分な減価償却が出来る程に十分活用されるかということである。(第4図参照)
むすび
コンテナ船の運航業界が、過当競争の世界にあって、国際的に優位な競争力を確保するためには、運航コストの削減が第一であることは当然である。そして、そのための手段が、スケール・メリットを狙った大型化である。
しかし、大型化への同一戦略を多くの船社が追従し、類似の対応をし、実需以上の過大な量のコンテナ船を発註しているため、数年後には異常な船腹過剰を産み出す懸念がある。加えて世界の経済低迷が、アジアと北米間のコンテナ貨物の輸送量に、インバランスの状態を形成していたことなどもあり、今後、世界の経済や産業、貿易の構造変化そしてコンテナ船の需給構造の変化を十分考慮しなければならないだろう。
しかし、さらに、今後13,000TEU型の超々大型コンテナ船が計画されていることは、船価や定期船市場の競争激化の要因などから、当然の対応の一手段かも知れないが、問題は1隻で年間130万TEUのコンテナを輸送する超々大型船が、今後の船価高や貨物の効率的集配を含めて、どの程度までスケールメリットとしての運航効率を大幅に向上できるかという疑問である。