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b) 計算によるクロスデッキに作用する波浪荷重の検討

c) ウエットデッキスラミング衝撃圧の模型実験

d) クロスデッキ部構造の簡易計算モデルの検討

e) 構造基準案の検討

双胴応答計算プログラムについては、双胴間干渉影響を考慮した計算が可能になり、この計算プログラムをベースにクロスデッキ構造強度に対する波浪荷重の計算を行い、算式について検討した。

また、双胴船固有の荷重であるウエットデッキスラミング衝撃荷重については、通常型の双胴船の部分模型及びウエーブピアサー型双胴船模型による水槽試験を行い、ウエットデッキスラミング衝撃圧の発生現象を把握するとともに、理論的な検討を行い衝撃荷重について検討した。

さらに、双胴間のクロスデッキ構造の強度については、基準で与える算式を得るために、FEMによる全船一体構造解析並びに簡易計算モデルのFEM解析を行い、クロスデッキ構造の簡易計算モデルについて検討した。

最後に、構造基準案について検討し、荷重及びクロスデッキ構造に対する基準算式案を得るとともに、高速船構造基準案の改正案としてとりまとめた。

 

2.5 条約改正に伴う国内規則取り入れに関する調査研究(RR 48)

2.5.1 旅客船の二区画浸水要件の取り入れに関する検討

旅客船の損傷時復原性に関する国内規則に現行SOLAS規則(SOLASII-1章第8規則、特に8-2規則、8-3規則に規定された搭載人員400名以上のRORO船および非RORO船に対する2区画可浸要件)の取り入れについて検討を行った。

単胴船については5隻の試設計船について復原性計算プログラムによって復原性試計算を実施し、その結果、第8-2、8-3の2区画可浸要件を除けば、日本の現存船においては、小規模の設計変更によりSOLAS規則を満足できることが明らかになった。

一方、双胴旅客船については、損傷時復原性計算用のプログラムの開発を行い、既存プログラムによる計算結果とのクロスチェックを行うことで、その精度確認を行った。その結果、ほぼ満足できる結果を得たものの、細部では若干の差異の生ずることが分かり、その差異の生ずる原因の調査を進めている。この精度確認が出来次第、次年度に国内でこれまで建造された双胴旅客船等についての計算を実施し、双胴旅客船へのSOLAS要件の適用の問題点を探る予定である。

 

2.5.2 避難経路の安全性評価方法の検討

改定されたSOLASII-2章には、RORO客船などの通路については、行き止まりの禁止などのほか乗組員が乗客の避難とは逆方向に移動することを含めて十分な幅が確保されることを設計時に確認することが要請されている。そしてこの規定はわが国においても、1999年7月1日以降に建造されるRORO客船に適用される。しかしながら、通路幅が十分に安全であるかどうかという機能要件を立証することは極めて困難であり、設計者にとってもまた検査機関にとっても具体的な検討方法が必要である。

性能要件を具体的な設備の規定まで落とし込むにはいくつかのやり方が考えられる。

本調査研究では最も直接的で理解しやすく、造船所でも利用可能な乗客の避難シミュレーションプログラムを開発し、それに設計時の船舶データを入れて具体的な評価を行うことを目指した。

一方、建築物における同様の基準のありかた、SOLASの暫定ガイドライン(RO-RO客船のための簡易的避難解析のための暫定ガイドライン)に検討を行うこととし、これらの検討を行い、最終的に使いやすいシミュレーションシステムとそれを利用した納得のいく安全性評価手順の確立を目指している。

平成11年度は以下の作業を実施した。

1] 建築物通路等の安全基準の調査

建築基準法の設定基準等に関して調査・検討した。

 

 

 

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