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2] 貨物の種類

3] 運航形態

4] 事故の種類

などを特定し、さらにStep 1の一部として、ケープサイズ・バルカーの船首部水密性に関するハザードの特定(HAZID)を実施し、その結果を中間報告としてまとめた。同時に、2000年5月に開催されるMSC 72にこれを提出することとした。

 

1.4 航行安全・無線通信に関する調査研究(RR 75)

SOLASV章の改正案について、各航海設備の技術要件、性能要件及び搭載要件について検討を行い、第45回NAV(航行安全小委員会)へ日本提案文書を提出した。

第45回NAV小委員会における、SOLASV章の改正案では、第19規則に各種航行システム及び機器の搭載要件が規定されている。2002年7月1日以降に建造される船舶(新造船)についての航行設備搭載についてまとめたのが表1である。

本規則の適用については、国際航海に従事する150総トン未満の船舶及び国際航海に従事しない500総トン未満の船舶についてはその適用を主管庁の裁量により決定できることになっている。また、今回改正されるSOLASV章は原則的に2002年7月1日以降に建造される船舶(新造船)に適用される。したがって2002年7月1日より前に建造された船舶(現存船)については、現行のSOLASV章12規則が適用されるが、今回の改正により現存船にも搭載要件が課せられる機器として、電子航法装置(GPS等)、AIS及びVDRがあり、その搭載要件は表2のとおりとなっている。但し、VDRの貨物船への適用についてはNAVでは結論に至らず、ブラケットを付して次回のMSC 72に報告されることとなった。

 

1.5 海洋汚染防止に関する調査研究(RR76)

1.5.1 タンカーの衝突、座礁時における油流出量低減対策

1988年のアラスカ沖のエクソンバルデス号の座礁事故後、相次ぎ発生するタンカーからの油流出事故は、海洋環境に甚大な影響を与えるとともにその対策の必要性を強く認識させた。タンカーの構造に対しても、IMOにおいて二重殻またはそれと同等な効果を持つことが義務づけられた。

しかし、その後もタンカーからの油流出事故は、シーエンプレス号、ナホトカ号、ダイアモンドグレース号と相次いで発生している。日本での2件の事故に対し、運輸省は対策検討委員会を設置し、その検討結果として、防除資機材の整備、防除体制の拡充等の方針に加え、油流出を低減する技術の研究及びその基準化の必要性を掲げている。

本研究では、平成10年度から3ケ年計画で事故時の油流出を低減する技術等の研究を行い、将来の基準化、MARPOL条約の改正についてその妥当性を検討することとし、平成11年度は、座礁・衝突時に損傷タンクから油を強制的に健全なタンクに移送する強制油移送装置、及びタンカーに他の船舶が衝突した際に、被衝突船側の構造破壊を少なくする緩衝型船首構造にについて、その効果を研究するとともに強制化にあたっての課題の抽出及びその対策を検討し、基準案の策定を行った。また、現在IMOで検討されている油タンカーの仮想油流出量等の見直しの動きに、我が国として適切に対応して行くための対応策を検討した。

強制油移送装置については、平成10年度に実施した、油流出形態の解析、油強制移送装置の効果の解析、油強制移送装置の試設計に引き続き、試設計した装置の効果の検証を水力学的追法により解析した。大型、中型、小型シングルハルタンカーの座礁、衝突の場合に対して、いくつかの油移送能力の管で解析を行い、評価を行った。また、昨年度実施した短管による隣接タンクヘの移送と比較評価した。

昨年度抽出した基準案策定に当っての問題点を考慮しつつ、試設計油強制移送装置による油流出低減効果に基づき基準案を策定した。また、移送開始の判断をするまでのシナリオを作り、それを支援する設備の基準案を策定した。さらに上記の基準を適用した場合の、改善効果及びそれにかかる費用の検証を行った。

 

 

 

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