19世紀には産業革命の波は世界全体に及び、図1に示すように、世界のエネルギー消費量は飛躍的に増大を始めた。1973年の第一次石油危機まではエネルギー消費の伸びは人口の伸びを大幅に上回っており、1860年におよそ0.3TOEであった一人当たりエネルギー消費量は、第2次世界大戦の頃には約0.8TOE、第1次石油危機頃には1.7TOEに達し、その後ほぼ横ばいになっている。
世界のエネルギー消費は長期的に増加傾向にあるが、主要なエネルギー源は時代と共に変化している。図2に示すように、各種エネルギー源のシェアの長期的変化は、市場浸透速度の説明にしばしば用いられるロジスティック曲線にほぼ従っている。19世紀後半に薪炭に代わってエネルギーの主役となった石炭は、その後約100年間主役の座を守った後、1960年代後半に石油にその座を譲った。石油は内燃機関の発明を契機として導入され、モータリゼーション時代の20世紀を代表するエネルギー源になった。しかし、その後2度にわたる石油危機により石油の消費は伸び悩み、依然としてエネルギーの中心に位置しているものの、天然ガスや石炭との差は近年縮小している。