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そのため本研究では、実海域における性能設計指針を与えることと、実海域対応の実用的性能設計システムの開発を目的として、システムの核となる短期海面応答特性推定技術を最新の基礎理論をベースに構築し、性能設計システムに組み込み、推定法の理論的高度化と高精度化を図って行くこととし、推定精度の検証分析と推定モデルの改良を目的として模型試験法の改良とそれによる系統的模型試験、更に実船による検証試験を実施する研究に着手し、WG1:「短期海面応答推定の高精度化システム開発」、WG2:「遭遇波浪の実用的推定システムの開発」、WG3:「実船試験による検証研究」の3WG体制にて研究を推進させてきている。

 

SR245 二重殻タンカーの船体構造寿命に関する研究(継続)

 

本研究は、平成11年度から平成14年度までの4ヶ年に亘る研究で本年度はその初年度である。以下に本研究の背景と目的・全体予定・本年度の実施内容を紹介する。

 

1. 背景と目的

海洋汚染防止の観点から「タンカー構造の二重殻化」が強制適用となった(IMO/MARPOL条約:1996年7月以降引渡し船対象)が、新しい「二重殻タンカー」の船体構造の健全性に関する実績がでてくるのはこれからである。

本研究では、船体構造の健全性や寿命を左右する疲労強度に焦点を充て、「二重殻タンカー」の船体構造寿命について実船計測や大型模型試験を通じて現象を把握するとともに疲労解析技術を得る。かかる技術をもとに構造寿命の実用的推定法・疲労寿命監視法・余寿命評価法の開発を行い「二重殻タンカー」の設計・点検・保守技術の高度化をはかることを目的としている(海洋汚染防止に確かな技術をもって応えていく)。

 

2. 研究実施項目と全体予定

本研究にて実施する項目と4年間での研究予定を記す。

 

研究実施項目と全体予定

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3. 本年度の実施内容

本年度は上記計画を予定どおり実施した。研究項目3. の状況を紹介する。ホッパー部大型模型はDH/VLCCの1/3縮尺とし実船が受ける荷重パターンを模擬して疲労試験を実施した。試験状況の写真を図1に示す。また各種解析法により模型試験体の疲労寿命解析を試みた。解析モデルを図2に示す。今後試験データ・解析結果をもとに亀裂伝播特性を把握するとともに解析技術の高度化・実用化をはかる。他の項目については紙面の都合上次回に紹介したい。

 

 

 

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