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2) 振動設計支援システムの構築及びインターネットの利用

振動計測データ、振動トラブルデータ、振動文献データ等のデータベース群を有効に利用して、設計時又は振動問題発生時のどの段階でも振動予測や振動対策検討が迅速に精度良く出来るパソコン利用の種々の振動検討ッールを作成してインターネットも利用した振動設計支援システムが構築できた。これらの成果は、若手にも有効に伝承出来るものとなった。

 

SR237 高度工作精度管理技術に関する研究(終了)

 

本研究では、高工作精度の船殻ブロックの実現が造船の生産性高度化と低コスト化達成の鍵であることを認識し、高工作精度ブロックの製作技術・管理技術の向上を目的とし、高精度の工作精度予測技術の構築、高度の工作精度評価技術の構築、及び、高能率ブロック継手溶接技術の開発の、船殻ブロック建造の事前・事後の両面から3課題を設定し、平成9年度から平成11年度までの3年間の研究を実施した。

工作精度予測技術では、従来予測が出来なかった曲がり部ブロックの溶接変形を高精度で解析・予測する「弾性FEM解析溶接変形予測手法」を提案し、また、平行部ブロックの平均溶接収縮量を高精度で予測する「溶接変形予測簡易式」も提案した。次に、平行部及び曲がり部ブロックのモデル試験体に依る溶接変形実測値と変形予測式の解析値と比較検証し、提案した溶接変形予測式は高精度で推定可能なことを確認した。最後に、ブロックの伸ばし量・延べ尺の設定要領、逆ひずみ・変形拘束等の変形制御要領を検討し、高精度ブロック製作の指針を取り纏めた。

工作精度評価技術では、船殻ブロックの高精度3次元形状計測技術の調査・検証をおこない船殻建造現場適用の観点から、従来計測法の「セオドライト式距離計測法」は大型ブロックや渠中内の計測に、また、「デジタルカメラ式写真計測法」は小組立から中組立の計測法に実用できることを把握した。次に、計測取得した高精度3次元ブロック情報と船殻3次元CADの構造情報との結合を前提に、製作ブロックの「出来上がり精度」と搭載ブロックの「取り合い精度」を検討・評価し、損失時間・コストを評価指標とする、実用的な「工作精度評価システム」を提案し、基礎となるプログラムを試作し有効性・実用性を確認した。

高能率溶接技術では、文献調査・分析により、高精度ブロック継手の高能率溶接の適用・開発指針を示した。次に、船殻の下向姿勢高速・高能率溶接法として実現性の高い「多電極ガスシールドアーク溶接法」の開発を行い、従来の5倍の溶接速度で、即ち、板厚20mmの1パス溶接が溶接速度2m/minで継手溶接可能なことを確認した。

本研究により、高精度船殻ブロックの製作実現の目処がついた。

 

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図1 弾性FEM解析による溶接変形予測結果

 

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図2 ブロックの3次元形状計測状況

 

 

 

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