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Sagging状態では、1.0から1.3になる。最大衰耗状態でも主船体縦曲げ最終強度に対する安全率は概ねHogging状態で1.0から1.4になる。ただし、Sagging状態では、0.8から1.0になる。

 

2.3.2 衰耗と断面係数との関係

油タンカーの甲板部および船底部における衰耗量の計測結果から、断面係数の減少率と船齢の関係を示したのが図3である。ここでは、VLCC4隻、Suezmax級10隻、Aframax級4隻、40KDWT級7隻を対象としている。これによると、船齢10年では対象船のうち最悪のもので、断面係数は94%となっていて、20年で89%である。フランジ面積の衰耗量と断面係数の減少率の関係を求めたものが図4である。対象船は、2.3.1と同じである。船のタイプによらず、次の関係が近似的に成立することが同図からわかる。

断面係数の減少率=フランジの衰耗率

 

2.3.3 縦崩壊強度と断面係数の関係

船体が折損するかどうかを検討するとき、真に知りたいのは船体の崩壊強度である。しかしながら、設計時に崩壊強度を正確に知ることは現時点ではそれほど容易ではない。計算は断面係数を求めるほうが遥かに容易である。ルールにおいても、崩壊強度代わりに断面係数を用いて縦強度を規定している。

断面係数を用いて設計している船が、どれくらいの崩壊強度を有しているかを調べて見よう。崩壊強度と断面係数との関係を調べるために、両者を簡易解析法で計算したところ、図5のような結果を得た。

簡単のために、縦強度に全く余裕がなく規則要求どおりの断面係数で建造された船舶について考える。

 

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図3-1 断面係数の経年減少(上甲板側)

 

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図3-2 断面係数の経年減少(船底側)

 

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図4-1 断面係数の減少率とフランジ面積の減少率の関係(上甲板側)

 

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図4-2 断面係数の減少率とフランジ面積の減少率の関係(船底側)

 

 

 

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