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検査:観測及び判断による適合性評価。測定、試験、計量を伴うことがある。

試験:規定された手順に従って、対象となる製品、プロセス又はサービスについて、一つ以上の特性の確立を行う技術操作。

校正:計器又は測定システムによって支持される量の値、若しくは、実量器又は標準物質によって実現される対応する値との間の関係を、特定の条件下で確定する一連の作業。

トレーサビリティ:不確かさがすべて表記された、切れ目のない比較の連鎖を通じて、通常は国家標準又は国際標準である決められた標準に関連づけられ得る測定結果又は標準の性質。

品質システム:品質管理を実施するために必要となる組織構造、手順、プロセス及び経営資源。

適合性評価:各種の試験や検査により製品や方法、サービスが所定の要求を満たしているかを評価するシステム

 

3. 不確かさ表現の始まりとその急速な導入

従来は計量器や測定・分析機器のカタログ性能に統一性がなく、過度の信用や逆に誤解を生ずることが少なくなかった。しかし、近年では機器や技術の向上に伴って、測定に誤差はつきものである、といっても誰も驚かなくなったように思えるほど、測定に対する認識は高まっているといえよう。

はかられた結果の表現の例として、図3と図4をあげて説明してみよう。図3は、二つの測定方法で得られた結果を示したものであるが、この図だけで見れば測定方法間に有意な差があるように見えるが、それぞれの結果がどの程度まで信用できるかの信頼限界が明白にならなければ、その違いは確認できない。一方、図4おいては、平均が同じに得られたデータでも、それらの信頼限界の大きさによって、一方ではxとyに直線的な回帰関係が認められ、他方では認められない(ばらつきの中に埋もれてしまう)ことになる。このように客観的な信頼限界の幅を求めるには、統計的な手法や実験計画法を導入していくことが有効となる。

さて、誤差2%と精度2%とはどう違うのかといったときに即座に答えられるであろうか。測定に関する性能を表現する場合には、測定値が存在するであろう「母集団」を想定し、試料自体がどのように分布しているかを推定することが誤差論の始まりである。誤差の定義は、(誤差)=(測定値)-(真の値)とされているが、この真の値がくせ者である。真の値をどこまで明確に追求できるかが問題になり、場合によっては公称値や設計値で代用することもあるが、厳密にいえば真の値を求めることは容易ではない。また、誤差といってもその原因は様々であり、すべての誤差を集積したものが総合誤差として誤差伝搬の法則から導き出される。

 

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図3 測定結果の表示方法の例

 

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図4 測定入力(x)と結果(出力y)との関係の例示

 

 

 

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