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誘致機関別にみると、BOIが155億2,900万ペソとこれまで最低の数字となり、首位の座をPEZAに明けわたした。また、SBMAが前年度減となった。それに対し、PEZAが90%増と大きな伸びを示した。表2-7に誘致機関別の投資額を示す。

 

表2-7 誘致機関別対内直接投資(認可ベース)

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出所:国家統計調整委員会(NSCB)

 

PEZAへの投資の55%を占めるエレクトロニクス業界は引き続き堅調で、半導体業界は、フィリピン半導体・エレクトロニクス産業連盟(SEIPI)によると、半導体各社の2001年の投資総額が10億米ドルに達すると強気の見込みを発表している。PEZAが認可した大型案件としては、上述のフィリップス社のほか、ドイツのルフトハンザ航空の航空機メインテナンスサービス、エプソン・プレシジョンの水晶振動子製造などがある。これ以外では、全体的に規模が小型化している。その背景は、大企業は既にフィリピンをはじめとする生産コストの低い国・地域に生産拠点を構築しており、これらの企業へ部品を供給するベンダー企業が進出しているためである。なお、PEZAへの1995年から2000年への累積投資額をみると、国別では日本がトップで36.9%、業種別では電子部品・製品で55.6%となっている。

また、IT産業も大きな伸びを見せている。PEZAの投資認可案件のうち、99年にはわずか2プロジェクトで8,808万4,000ペソだったのに対して、2000年は11プロジェクトで12億800万ぺソとなり12.7倍に増加した。政府は国民の英語力や毎年3万人を越す理工系大卒者に加え、人件費が先進国に比較して安いことなどからIT産業の分野に国際競争力があるとみて、ハードだけでなくソフト分野も含めた産業振興および外資誘致に力をいれている。PEZAは99年10月、ソフト関連のIT企業および同企業の開発拠点(ITパーク)建設企業に対し、法人所得税の免除など従来の経済特別区への進出時と同様の優遇措置を与えることを決定した。2000年6月までに承認を受けていた3件に加え、2001年3月には、マニラ首都圏とセブにあるビルや工業団地5ヶ所にITパークの資格を付与した。なお、PEZAはパーク建設に与えられる優遇措置をビル建設に悪用される恐れがあるとして、2000年9月にITパーク建設業者に対する優遇措置の承認を一時凍結したが、2000年12月、対象地域を首都圏以外に限定した上で、承認を再開している。

 

 

 

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