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12 まとめ

 

12.1 造船需要

 

本調査の目的であるモーダルシフトに伴う新規造船需要については、11章で予測され、次の表のとおりまとめられる。

 

表12.1-1:モーダルシフトに伴う新規造船需要

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本予測は、1)道路貨物輸送から沿岸貨物輸送に適した貨物のピックアップ及び荷主の輸送機関選択傾向の予備調査、2)タイ運輸通信省政策企画局作成の道路貨物輸送に関するOD表(貨物流動表:1998年)に基づき、ヨーロッパ及び日本等において貨物輸送の機関分担率を予測するために使用されているロジットモデルで、6航路について自動車輸送から沿岸輸送にシフトする貨物量を計算し、この新規航路開設に必要な船舶の大きさ、航海速力及び必要隻数を求めた。

これらの予測結果は、沿岸輸送の主な荷主となる鉄鋼メーカー及びタイ船主協会の聞き取り調査からのRo-Ro船の定期航路開設の計画とも方向が一致しており、信頼できる調査結果となったと確信している。

 

12.2 タイ政府の沿岸輸送育成の動き

 

現在、海運・造船等の海事産業の振興を担当している運輸通信省海事産業振興委員会事務局は、2001年5月に沿岸海運育成マスタープランを公表する予定であり、これには、モーダルシフトを推進するための沿岸海運のフリートを整備するための特別基金(船舶を購入するための長期貸し出しローン等)の創設、人材育成及び関連規則改正等が含まれる予定である。

 

12.3 政府開発援助等の可能性

 

本調査では、モーダルシフトに伴うCO2等の地球温暖化ガスについて、自動車輸送と沿岸輸送とを比較し、モーダルシフトにより温暖化ガスの削減の可能性があることがわかった。このため、日本側からタイ側に支援するスキームとして、1)円借款(環境案件)でタイ政府機関の公社ETO(トラック運送)がRo-Ro船を調達するための有償資金援助又は、2)気候変更枠組条約・京都議定書で導入された温暖化ガス削減の3本対策の一つであるクリーン開発メカニズム(途上国が計画する温暖化ガス削減プロジェクトを資金、技術面から先進国が援助する)に基づくモーダルシフトに関するハード及びソフト技術の移転のための資金供与を行うパイロット事業の可能性があると考えられる。

(以上)

 

 

 

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