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1つは置換燃料の使用促進を助成する酸化剤燃料プログラム(Oxygenerated Fuels Program: OFP)、他はガソリンの改質を助成するガソリン改質プログラム(Reformulated Gasoline Program: RFG)である。

OFPは、COがNAAQSを上回る31の都市地区で冬期販売されるガソリンにエタノールあるいはMTBE等の酸化剤を用い、最低2.7%の酸素を混入して燃料の完全燃焼を助け、COの排出を減らそうとするプログラムである。EPAは、上記量の酸化剤混入によりCOを7-15%(平均8%)減らすことができるというテストを実施していたが、MTBEの混入については最初から健康への悪影響が指摘されており、その効果については条件付きであった。舶用エンジンの世界では、レクリエーション用ボートが飲料取水湖等で撒き散らすMTBEが問題となっており、このことは4-4節において詳述する。

 

RFGは、オゾンがNAAQSを上回る9つの地域に対し、1995年1月より改質ガソリンを使ってCPs及びHAPsを減らそうとするプロジェクトである。RFGは2つのフェーズに分かれている。フェーズIは1995年1月から始められ、VOC及びHAPsを15%減らし、NOxを1990ベース年より増やさないことを目標としたものであり、フェーズIIは2000年1月から始められたもので、目標はVOC 25%減、HAPs 20%減、Nox 5.5%減である。何れのフェーズでも、発ガン物質であるガソリン中のベンゼンの上限値を規定している。EPAはフェーズIではプログラム参加全地域でVOCが夏期90,000-140,000トン、フェーズIIでさらにVOC 42,000トン、NOx 22,000トン、HAPs合計1,000トンが減ると予想している。

 

次に、運航方式が舶用エンジンの排ガスに及ぼす影響をみてみよう。船舶の速力を落とすと、ある地域での滞留時間が長くなり、それだけその速力での排出量が増加するが、速力を落としたことによる排出量の減少は滞留時間の延長による増加より効果が大きい。船舶の推力は、速力の3乗に比例する。したがって、20ノットで80%MCRで走っている船が15ノットに減速すれば、必要推力は34%MCRまで下がる。20ノットの船が20マイルを走る間に排出するNOx量は、同じ船が同じ距離を15ノットで1.3時間かけて走る間に排出するNOx量よりもずっと多い。添付資料6では、減速区域(Reduced Speed Zone: RSZ)での速力と船の種類により16のシナリオを作り、減速によるNOx減少効果を最小1.2トン/日から最大5.9トン/日と計算している(第2-2表参照)。

 

船舶の運航を陸岸から離脱させることで、船舶からの排ガスの陸地に対する影響が大幅に減ることは論を待たない。前述の1994年FIPで、EPAはロスアンジェルス、ロングビーチ寄港船に対し、エンジン回転数を含む一定算式より得られたNOx排出量1トンにつき1万ドルの課徴金を取る制度を提案している。その中で、エンジンの新技術を採用している船、停泊時陸電を使用する船等に対する課徴金の減額率を定めているが、ベンチュラ沖70マイルの新沖合い航路をとる船の減額率を50%と定め、沖合い航路奨励策とした経緯がある。

 

 

 

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