4. 排ガス対策技術
4-1 概要
舶用エンジンからの排ガスを減らす方法は種々考えられ多くの技術が開発されているが、何れも効率と性能及び商業上の採算に逆行するものであり、個々の状況に応じて最も適した方法が採用されている。排ガスを減らす方法は以下のように分類されるが、排ガス規則と関連して直接的に議論の対象となっているのはエンジン自体に技術的改良を加えて排ガスを減らす方法であり、その中でも中心的なディーゼルエンジンからのNOx減少技術、ガソリンエンジンからのHC減少技術については節を改めて詳述する。
本節においては、それ等以外の排ガス減少技術及び方法について概観する。
* クリーンエンジンの採用
ガスタービン/天然ガスエンジン/燃料電池/等
* 燃料の変更
代替燃料/置換燃料/改質燃料/燃料電池/等
* 運航方式の変更
減速/陸岸からの離岸/等
* ディーゼルエンジンのNOx減少技術
エンジンの微調整/排気ガスの再循環/燃料の噴射時期を遅らせる方法/水・燃料のエマルジョン化/選択接触還元法/等
* ディーゼルエンジンのPM減少技術
潤滑油消費量のコントロール/等
* 2ストロークSIエンジンのHC減少技術
燃料の直接注入/触媒コンバーター/4ストロークエンジンの採用/等
クリーンエンジンの採用として最近最もドラマチックに報道されているのは、クルーズ船会社の大手ロイヤルカリビヤン社に2001年及び2002年に引き渡される2隻の85,000トンVantageクラスの主機をディーゼルエンジンからガスタービンに切り替えたことである。ロイヤルカリビヤン社は、ガスタービンに切り替えたことにより排ガスが80-90%減少し、音や振動も大幅に減るので、その効果は絶大であると報道している。
天然ガスエンジンもクリーンなエンジンとして期待が持たれており、現在米国でフェリーボートへの利用を対象としたエネルギー省とGRIのプロジェクトが進行中であることは前述のとおりである。