その他、陸上用エンジンの検査規定より変更されている主要点は、下記のとおりである。
* 使用中検査(船上検査/取り外しエンジンの工場検査)の規定追加
* 検査用燃料の硫黄分を0.03刧0.80重量%に変更
* ベースエンジンから舶用エンジンに変更するための調整パラメータの変更
* エンジンの最大速力(rpm)を速力/出力グラフ上で最遠の点と定義変更
* 出力カーブ上のある区域で超えてはいけない(Not-to-exceed: NET)規制値の新規設定
次に、前述の2000年11月17日のレクリエーション用ボートディーゼルエンジンに対するANPRMの内容をみてみる。レクリエーション用は商業用に比して年間の使用時間が圧倒的に短く寿命も短いが、燃料レートを上げて少しでも高速を得ようとする使われ方をしている。また、レクリエーション用エンジンの製造業者の中には、排ガスの基準を押し付けてもコスト的あるいは開発能力的に問題のある中小業者がたくさん存在する。
ANPRMの中で、EPAはレクリエーション用ボートに対しても前述の商業用第2段階の排出基準を適用する(特に、NoxとPMを対象とする)との基本方針を示しているが、次のような幾つかの重要事項について一般からのコメントを求めている。
レクリエーション用も商業用と同じく陸上用エンジンを舶用化したものが用いられているが、商業用のものをそのまま用いると使用時間や寿命から考えて過剰品質になる場合があり、コスト効果に力点を置くEPAの考え方と合わない。したがって、求めているコメントは例えばレクリエーション用のターボチャージャーの冷却はコストの安い海水冷却で良いか?、Duty Cycleは商業用はISO E3であるがISO E5で良いか?、レクリエーション用ではクランクケースから排ガス出ても問題が少ないのでクランクケースはオープンで良いか?、レクリエーション用に商業用と同じ基準を押し付けるとエンジンのみならず船体も影響を受けるか?等の技術的コメントと共に、中小製造業者を保護するためのコメント例えば実施期日は2005モデル年(商業用2004モデル年の1年後)で良いか?、生産にフレキシビリティーを与えるABTは不要ではないか?(レクリエーション用エンジンのメーカーには多種のエンジンを作っているメーカーは少ない)等、コスト効果とメーカー保護に関する広範な質問となっている。