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特に南カリフォルニアでは、船舶からのCPsを規制しない限り、EPAのNAAQSを達成できないという深刻な事態となっている。

HAPsは排出される量は少量であるが、環境と人間の健康に与える影響は甚大で、ガンや神経症等の原因となっている。EPAでは、3年ごとにHAPsの推定量(National Toxic Inventory: NTI)を発表している。VOCや鉛はHAPsの一部でもあるので、NETとNTIは多くの点でラップしているが、NTIは比較的新しいデータベースであり、EPAはNTIの値にNET程の自信を持っていない。

EPAは、1993年総計166種のHAPs 810万トンが全米にばら撒かれたと推定している。このうち、移動汚染源によるものは21%(170万トン)で、61%はポイント・ソース(工場、発電所等)、18%はエリア・ソース(ドライクリーニング、洗剤、クリーニング産業等)が汚染源であるとしている。

1999年、EPAは総合都市毒物戦略(Integrated Urban Toxic Strategy)を発表し、33種のHAPsを都市住民の健康を脅かすHAPsに指定した。現在、EPAはHAPsの排出規則制定の準備中である。

 

1990年議会は、CAA公布後の20年間のコストと成果に関する包括的調査をEPAに命じた。その調査報告書は、1997年“1970-90年におけるCAAのコストと効果(The Benefits and Costs of the Clean Air Act、1970-1990)”として議会に報告されている。

本報告書によれば、1970年から90年の20年間で大気汚染の軽減と規制に費やされた費用は5,230億ドルで、そのうち34%、1,790億ドルが移動汚染源用に、残り3,340億ドルが固定汚染源用に用いられている。その成果として、EPAは上限平均22.2兆ドル、下限平均14.3兆ドルの幅広い推定成果を示している。

 

 

 

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