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本技術は、第6-5図に示すごとく熱音響ヒートポンプ技術(Thermo Acoustic Heat Pump Technology)による電動の3トン(10kw)チラーを使っているが、2004年度から発注が予定されている新型沿岸駆逐艦DD−21への搭載が予定されている。既存艦艇への本システムの塔載は、コスト効果とその必要性を見極めた上で、順次実施される予定になっている。

 

CFCのような冷媒の場合は熱力学性能その他の物理的性能から代替物質を見出すことは比較的容易であるが、ハロンのような消火剤の場合は消火性能を前もって予測することが困難なため、代替物質を見出すことは非常に難しい。代替物質を見つけるためには多くの候補物質のクリーニング後、実験室で消火性能を確認することが必要となる。候補物資の選定とともに重要なのは、代替物質が複雑な船体構造にうまく適合して火災発生時有効に該当個所に運ばれる搬送システムを設計することである。商船、艦艇共に現状船体に組み込まれている消火システム中のハロンをそのまま代替してうまく作動する代替物質を見出すことは不可能なので、既存船は従来のままハロンを使用し、ハロン代替物質は新造船からの適用となる。

艦艇の場合、非ODSであるHFC−134aと水ミストの混合気体がハロン代替物質として認められ、強襲揚陸艦LPD17及び原子力空母CVN76から採用されているが、気体搬送システムの改造が必要と考えられている。

 

CFCやハロンと同じODSで船舶と関係するのは、船上で使用される各種溶剤である。海軍を例にとると、これまで何千というミルスペックや市販の溶剤が艦上で使用されており、それ等は塩素系のメチルクロルフォルム、カーボンテトラクロライド、CFC−11、CFC−113等であったが、柑橘類(Citrus−base)ベースの溶剤と水クリーニングを組み合わせたシステムで置き換える方針で、代替化が進められている。艦艇の場合、代替化が最も困難であったのは発火性や有毒リスクを最小としなければならない艦上の酸素システム、例えばパイピング、ダイビング装置、溶接機等の洗浄に用いる溶剤及びその実施法であった。従来は、この目的のためにCFC−113を使っていたが、これに代わるものは簡単に見つからなかったので、海軍では民間の業者と組んで水性無機アルカリ溶剤を開発し、海軍酸素クリーナー(Navy Oxygen Cleaner)と名付けて特許を所得した。NAVSEAでは、海軍酸素クリーナーの使用を軍事、民事産業及び国内外の広い分野にまで広め、その使用量は既に年間100万ポンドに達している。

 

 

 

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