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EVACは、33CFR159に示されるUSCGのタイプIIIMSDとして承認されている。また、タイプIIとして排出することも可能である。この場合タイプIIとして認められるために物理/化学処理システムを装備する必要があるが、Envirovac社では第5-2図に示すシステムをORCAの商品名で発売している。ORCAはコンパクトで軽量、マイクロプロセッサー制御の自動運転で、12〜70人用4種と165〜500人用3種があり、いずれもUSCG及びIMOの承認を受けている。

 

MVSSの真空パイプは流れる水量が少ないので、小便中の尿素が結晶化してパイプの内面に付着してパイプを詰まらせ、メンテナンス上の問題となる。極端な場合には、4インチ径のパイプが90〜120日で80〜90%詰まる場合も発生する。結晶化した尿素は石のごとく堅く表面がざらざらしており、更に異物を付着させる。本問題を解決するために、環境に優しい酵素を使った薬品をシステム中に流してパイプの内壁の尿素及び異物を除去するシステムが発売されており(例えばUriclean社製品)、多くのクルーズ船が使用している。

 

レクリエーション用ボートのブラック水の処理方法として、ボート所有者がとり得る方策は2つある。一つは小さな処理システムを塔載してバクテリアを殺し固形物を目に見えない程に細分して許可海面で排出するか、ホールディングタンク中に蓄えて陸上のポンプステーションで陸揚げするかである。前述のごとく、ボートに必ずしもMSDを装備する必要はないが、装備するならば長さ65フィート以下の船はタイプI、65フィート以上の船ではタイプIIあるいはIIIを装備する必要がある。

環境に最も優しい方法は、ボートから排出しないことを前提に設計されたタイプIIIを装備することである。タイプIIIには、再循環式、燃焼式、ホールディングタンク貯溜陸揚げ式等あるが、レクリエーション用ボートで最も一般的に採用されているのはホールディングタンクである。この場合の問題点は、陸上のポンプステーションが少ないことで、このため連邦政府は前述のごとく1992年マリーン製品に対する課税を財源にポンプステーション建設援助基金を設けた。1996年の実績では、33州の938のポンプステーション及び470の陸上廃棄ステーションに対し、940万ドルの資金が援助された。

ホールディングタンク式には、臭気、汚物や化学剤による汚れ、ホース等機材のバクテリア汚染等の問題があり、第5-3図に示すようなRaritan社のタイプI化学的MSDが普及し始めている。このシステムは、電極板からの低ボルトの電気で海水から塩素ガスを発生させ汚水を消毒するものであり、USCGが定める値の50倍以上のバクテリアを殺すことができるといわれている。

 

 

 

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