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海軍では、プラズマエダクターのプロトタイプ製作前にプロトタイプ前(Pre−prototype)エダクターを作って、各種設計要素の確認を行っている。プロトタイプの廃棄物挿入計画値は毎分5ポンドであるが、4.8ポンドしか熱破壊されないこと、廃棄物をエダクターに均一に供給することが性能上非常に重要であること、水分が20〜40%の廃棄物に対しては2軸スクリューのフィーダーが好成績を示すこと等が判明している。現在、紙、カードボード、プラスチック等水分が5〜40%(平均20%)の廃棄物をミリングマシーンで0.5mmサイズに細紛化したもの、あるいはシュレッダーで2.4mmに細紛化したもので試験が行われている。

 

どの位の大きさのものまでエダクターの中でガス化されるかは不明で将来の試験項目であるが、理論的には廃棄物の有孔率(Porosity)、水分、トーチの強力度等に左右される。現在のトーチ(85〜90kw)では、廃棄物の水分は20%が限度と考えられている。さらに、紙やカードボードをパルプ化したものは熱破壊されやすいこと、2次燃焼システムを通過した後の灰の不燃炭素量は5%(IMO基準は10%)と、燃焼性能が従来の焼却炉に比べて格段に良いことも分かっている。

 

PWADSプロトタイプは上記を踏まえ設計が完成している段階であるが(1999年9月)、第4-7図に示す機器構成となる。今回のプロジェクトは艦艇にそのまま載せることを目的としていないので、将来実艦に採用されるものは、第4-7図に示す機器を艦の配置に従って配列し直したものとなる。また、研究が進むにつれて、別の補助機能や前処理装置を付加したものになるかもしれない。

今のところ、シュレッダーやパルパーがカテゴリーIの廃棄物の前処理装置であるが、これ等の前処理装置で受け入れられなかった廃棄物は、カテゴリーIIの廃棄物とともに補助プラズマシステムで処理される。補助プラズマシステムでガス化されたガスは、エダクターシステム中の2次燃焼室に送られ完全燃焼される。エダクターシステムであれ補助システムであれ、燃えないものすなわちガス化しないものは集めて艦上で保管する。

5,500人の乗組員を擁する空母で、2組のプロトタイプサイズのPWADSと補助プラズマシステムを組み合わせたものを1日18時間稼動させ、艦上の固形廃棄物の95%を処理することが本プロジェクトの最終目標である。

 

 

 

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