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4-2 固形廃棄物-USCG

 

USCGカッターと海軍艦艇の相違は、USCGカッターの活躍領域が主として米国領海であることと、艦艇のごとく武器を多く搭載する必要がないので容積的に余裕があることである。また、USCGは米国を代表してIMOとの接点になっており、さらに、海洋関係国際法を受けた米国内法の規則実施責任官庁でもあることから、USCGカッターは環境関連の国内外諸法規を完全に充たさなければならない立場にあり、法規適用に関して艦艇のごとき例外は一切認められない。

 

このような事情から、USCGは固形廃棄物処理に関し種々の方法を検討の結果、焼却炉による方法を最も好ましい方法と考えプラスチック廃棄物を含め船上で焼却処理することを第1方針とした。USCGが焼却処理を第1と考えた理由として、固形廃棄物を分別する必要のないこと、スラッジその他油性廃棄物も同時に焼却できること、全体的に処理コストが低廉であること等が挙げられる。ただし、小型カッターでスペース的に焼却炉搭載が無理な場合は、圧縮機(Compactor)及びパルパーで対処することとしている。

 

1992年、USCG長官布告M50007は、USCGカッターがMARPOL 73/78附属書Vを完全に順守すべきことを求めている。これを受けて、USCGでは1994年1月船舶環境基準適合プログラム(USCG Vessel Compliance Program)を発足させ、乗組員50人以上、航海日数5日を超えるカッターは焼却炉を装備することを提案し、3クラスのカッター(399フィート砕氷カッターWAGB、378フィート長航続カッターWHEC及び230フィート中航続カッターWMEC)にプロトタイプの焼却炉を搭載して試験、評価することとした。

この結果、大型カッターに対する固形廃棄物の正式処理法として焼却炉を採用することがEPAにより承認された。WAGB、WHECクラス、230フィートWMECクラスには直ちに焼却炉が搭載されたが、270フィートWMECクラスに対する決定は未定となっている。210フィートWMECクラスには焼却炉の代わりに圧縮機とパルパーが搭載されることとなった。また、WAGBやWHECクラスの大型カッターにも、焼却炉のバックアップとして圧縮機とパルパーが搭載されることが決まった。

 

プラスチック廃棄物を含む固形廃棄物の船上処理に関して、USCGが検討した法規はUSCG長官布告(COMDTINST)M50007の中の船舶規則マニュアルPart 66、MARPOL 73/78附属書V、APPS、MPRCA、1989年USCG承認法(Coast Guard Authorization Act of 1989)等である。1989年USCG承認法は、DOT長官がUSCGの船舶及び基地の環境適合及び環境保存プログラムについてUSCGに適切な指示を下すことを求めている。

USCGは焼却炉の採用に当たり、実船試験以外に種々の調査を実施し、それらを全てEPAに送り承認を求めている。調査の第1は、乗組員に対して実施した好ましい船上固形廃棄物処理装置の種類についての聞き取り調査である。

 

 

 

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