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他の東南アジア地域と比べ、フィリピンにおける事業機会が大きいと考えられるが、現在フィリピンは政治情勢が安定しておらず、これが経済にも悪影響を与える可能性がある。しかし、依然として旅客船を利用する人数は多く、数社の旅客船事業者は小型旅客船に移行しつつある。

また、インドネシアにも事業機会が見られるが、政治、経済情勢が安定するまでに一定の時間がかかることが予想される。新規旅客船事業者は、フィリピンの状況をもとに、中型、やや低速の旅客船で事業を始めようとしており、これは日本のエンジンメーカーに有利な状況である。

 

日本のエンジンメーカーがインドネシアで事業を行う際の問題点は、:

→ ほとんどの旅客船事業者が充分な経済力を持たないため、バイヤーズクレジットの提供が困難と思われる。

→ 大多数の新規旅客船事業者の経済的問題点として、現地通貨で乗客から乗船料を得て米ドル建ての支払を行うため、事業失敗のリスクが高く、バイヤーズクレジットの提供が困難と思われる。

→ インドネシア〜シンガポール間及びインドネシア〜マレーシア間の新規旅客路線には事業機会があるが、大部分の新規旅客路線のあるインドネシア東部では政治情勢が不安定であるため、総合的にはフィリピンにより良い機会があると思われる。

 

3.2.2.4 バイヤーズクレジット

東南アジアにおける日本のエンジンメーカーの事業機会は多いが、エンジンだけではなく、船舶全体に対するバイヤーズクレジットを提供しない場合には中期的な販売見通しは限られてくる。

競合メーカーはそのようなファイナンスを提供しており、顧客は取引の一部として期待している。通常のファイナンスは、ロンドン・インターバンク出し手レートよりやや高い金利で船舶全体の費用の80パーセントをカバーしている。

日本のエンジンメーカーが中速旅客船市場に参入することを真剣に考えているのであれば、船舶全体に融資を提供せざるを得ないだろう。インドネシアにおける融資の提供は困難であると予想されるが、他の地域では重要な成功要因となるであろう。

 

 

 

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