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・マレーシア

マレーシアは経済危機後、大部分の事業者は新造もしくは代替旅客船の購入を見合わせ、新造オーストラリア製高速船の購入見通しは少ない。マレーシア東部〜マレーシア半島部〜インドネシア東部間への高速船便導入に関してかなりの論議が交わされているが、うちどの航路についても確定的計画はない。また、東マレーシアには多数の旅客船事業者が存在するが、それら船舶の大部分は中古もしくは現地(マレーシア東部のシブ)建造の小型の川船である。

なお、東マレーシアの日本エンジンメーカーA社代理店は非常に積極的で評価も高いが、それらは低速船舶向けである。

 

・ブルネイ

ブルネイ経済も低迷しており、回復にはかなり時間がかかると思われる。こうした経済情勢では、新造へのメリットが明確にされない限り、中古船を購入するアジアの旅客船事業者が多いものと思われる。

なお、ブルネイ唯一の高速旅客船就航航路はマレーシア東部ラブアンへの航路である。

 

・タイ

タイの経済危機による景気後退は高速旅客船市場に深刻な影響を与え、大部分の事業者が新規購入の延期を決定した。同市場においては、観光客向け高速船について、今後可能性がある。

タイにおけるもう一つの問題は、旅客船に対する高額の輸入税である。諸関税の合計は船価を上回り、そのため市場参入が非常に困難となっている。それに代わる高速船の現地建造は、品質上の問題を生ずる可能性がある。

 

・シンガポール

シンガポール市場は、他のアジア地域の国々と異なり、所得水準が高く、時間価値を重視しており、主要事業者は時速30ノット以上の高速旅客船を使用している。従って、オーストラリアの高速船メーカーにとって充分な見込みがあるものの、日本製エンジン搭載の船舶にとっては、セールスポイントが相対的に少ないものとなっている。

 

 

 

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