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1. 調査背景及び概要

 

1.1 プロジェクトの背景

オーストラリアの造船業は、近年、世界の高速船の約30パーセント(50人、25ノット以上の船舶)を建造するなど、アルミ高速船(旅客船、フェリー)の分野で急速に国際競争力をつけ、世界市場、特にアジア市場への輸出を積極的に進めている。特にアジア市場においては、所得水準の向上、観光・経済開発の進展により在来型の日本の中古船を使った海上交通からの脱却を目指す動きに乗り、オーストラリア製高速船が食い込んできている。また、高速船の導入による新航路の開拓、輸送人員の増加など単なる代替需要だけではなく、新規需要を誘発してきており、オーストラリア製高速船市場は、我が国の舶用工業事業者にとっても無視し得ない市場を形成しつつある。

ところが、我が国舶用機器が世界の一般商船の市場に占めるシェアに反して、オーストラリア製アルミ高速船には、我が国舶用機器は使い勝手が悪い、高速船向きでない等の理由でほとんど搭載されておらず、このままではオーストラリア造船業のアジア市場への進出が増すに従って、これまで同市場で多くの船舶に搭載されていた我が国舶用機器の市場が脅かされることになる。

現在の東南アジア地域における市場状況、及びこれに対する我が国舶用機器の関係をまとめると次のようになる。:

→ 東南アジア地域は、経済危機後の景気低迷にもかかわらず高速旅客船に対する継続的需要がある。

→ また、旅客定員150名まで、かつ時速25ノット程度のより安価な旅客船に対する市場も存在している。

→ 同市場は日本のエンジンメーカーが製造している舶用エンジンに適していると考えられる。

→ 従って、同市場向けに、オーストラリアの高速旅客船造船所が日本製エンジンを搭載する可能性はある。

 

 

 

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