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我々が最近完了したプロジェクト “RAM/SHIPNET”において、その必要性に取り組み、信頼性管理及びベンチマーキングのためのソフトを開発した。このソフトには、船主/運航者、造船所、設計者、船級協会及び保険会社の間で機器性能データを共有するオプションもある。RAM/SHIPNETのソフトは、“WaveTM System”との名で商品化されている。

前述の高速フェリーの機器信頼性問題は現在の保守整備の方針と過程が最適なものにほど遠いことを示している。経営トップは、多くの方針のタイプ(壊れたら直す、計画、予測、状態ベース、信頼性集中(RCM)、全体製造保守整備(TPM)等)の中から保守整備方針を選択するであろう。海運産業、特に高速フェリー産業では、RCMやTPMのような近代的な保守整備方針は採用されていない。機器信頼性問題を考慮して、保守整備マネージャーはこれらの近代的方針の潜在的な利点の調査を望むかも知れない。

TPMは、1980年代後半に日本で導入されたものであるが、財源と人的資源の最適な使用に焦点を当てている。TPMの3つの主要コンセプトは、1]機器の継続的向上への集中、2]機器保守整備責任の分担、3]作業グループの機器への集中である。

北米の成長産業において10年間TPMが実施された後、次世代の方針である全体プラント信頼性(TPR)が導入された。組織の全ての人を巻き込むことにより、TPRは、市場が必要とする信頼性のレベルを最高の利益を達成するようにするものである。TPRの繰り返しにより、1]信頼性への集中、2]重点的権限付与、3]市場ベースの保守整備、4]バランスのとれたスコアカードの使用、が促進される。

主要な焦点は、保守整備機能ではなく、信頼性のゴールである。実績と報酬は、単に保守整備費用によるのではなく、信頼性のスコアカードのセットとリンクする。Roupは、プラント信頼性の達成とは、人を指揮し、資産を維持し、並びにバランスの取れた方法により実績を継続的に改善・評価することであると述べている。TPRや他の近代的保守整備戦略は、会社に彼らの現在の状態を評価することを要求する。信頼性改善の継続を達成する新しいエキサイティングな戦略として、現在、TPRは紙産業、鉄産業、石油産業、自動車産業及び個別の製造産業で使用されている。

成長産業のある組織では、Six Sigmaというブレークスルーマネージメント戦略の実施により、保守整備過程のみならず他の全ての重要過程においてほぼ完全に近づいている。正しく実施されると、Six Sigmaは空前の実績の増加をもたらす。Six Sigmaを実施している会社には、Sony, Ford, Nokia, Texas Instrument, Raytheon, Allied Signal, General Electric, Motorola, BMW, Mercedes-Benz, Volvo Heavy Truck, Chase Manhattan Bank, AT&T等が含まれる。何がこれらの革新的な企業をこれほど精力的に信頼性改善を追求させるのか? 答えは単純である。彼らは信頼性の向上とボトムラインの関係を理解しているからである。

 

・ベンチマーキング

Bastonはベンチマーキングを「成績管理過程」と定義している。この過程の目的は最良の産業経験の調査を通して成績ゴールを確立することである。さらに、Bastonは、「成績管理は、目的を伝達し、変化を統合し、結果を測定し、その成績に対してチームや従業員に報いることであると定義されてきた」と言う。

プロセス・ベンチマーキングは、過程成績測定及び変化管理に含まれる。実際、プロセス・ベンチマーキングは、プロセス・メジャーメント・プロセスの一部分のように見える。

 

 

 

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