日本財団 図書館


第I編 欧州における主機関の動向 ―概観―

 

第1章 全般

最近の主機関用ディーゼルエンジン及びガスタービンについて、The Naval Architect (March 2000)a)において取り上げられている。その概要を以下に示す。

 

1.2 ストロークディーゼルエンジン

エンジンの小型化、軽量化、製造・設置・保守整備の簡素化全ての面に関し設計改良が実施されてきており、今日では、エンジンのボア径、シリンダー数、出力、回転数の選択により、ほぼ最適なエンジンを装備できる。しかしながら、出力や信頼性等に関する更なる開発の余地もあり、引き続き開発が行われている。

 

(1) 出力90MWプラント

現在の2ストロークエンジンの最大出力は68.64MW(直列の12シリンダーモデル)であるが、MAN B&WはV12、14、16バージョン等のV型や直列型で90MWを超える出力のエンジンの製造を可能としている。また、V型は単位出力当たりの重量及び長さを大幅に削減するとしている。

 

(2) ディーゼルエンジンLNGタンカー

蒸気タービン推進の最後の砦であるLNGタンカーの主機は、しばらくするとガス燃焼2ストロークディーゼルエンジンになる可能性がある。陸上プラント用の技術は十分確立されており、また、MAN B&Wがシャトルタンカーや油タンカー向けに環境に優しい推進システムとしてガス燃焼MCエンジンを販売している。

 

(3) インテリジェントエンジン

MAN B&W DieselとWartsila NSDは、カム軸がなく、燃料噴射と排気を電子制御するインテリジェントエンジンの開発を進めている。Wartsilaはインテリジェント・エンジンRT-flexの商業化に先立ち、RTX-3プロトタイプの運転を2001年に開始する。また、MAN B&Wのインテリジェント・エンジンMC-Eについては、Concordia Maritime社(スウェーデン)が現代重工に発注したVLCC(314,500DWT)に2基の7S60MC-Eが搭載される予定となっている(2001年3月末海上試運転予定)。

 

(4) 大型コンテナ船用エンジン

新世代のポストパナマックスコンテナ船(7,000TEU以下)の主機としては、MAN B&W DieselとWartsila NSDのボア径最大の12シリンダー型エンジン(ボア径960mmのRTA96C(Wartsila)、ボア径980mmのK98MC/MC-C(MAN B&W))が開発されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION