日本財団 図書館


従来は中古船に依存してきたMobyであるが、今回は高速の在来型のB2型フェリー2隻の新造をイタリアに発注している。

RoRo運航の民営化と高速RoPaxの利用はこれからかなり進む余地があるものと見られる。

 

<サルディニア>

サルディニア、イタリア本土、コルシカ、シチリアの間では年間約450万人の旅客、125万台の乗用車、40万台のトレーラが動いている。輸送量の伸びは年率3%前後となっている。これに対して、サルディニアの各空港からの旅客数は1995年現在で300万人である。

国有船社Tirreniaが、RoRo貨物で48%、旅客/乗用車で約62%のシェアを占めて市場のリーダーとなっている。しかし、貨物ではA1型RoPaxの新造を発注して大型化を進めるSarda di NavとA3型RoPaxのクルーズ・フェリーを投入したGNVに、旅客ではGNVと船隊整備を進めるMoby lines、Sardinia Ferries(Tourship)両社に追撃され、Tirreniaのシェアは急速に侵食されている。Tirreniaはこの航路向けに高速A3型RoPax2隻を発注し、さらに最近2隻を追加発注した。GNVは新造RoPaxをこの航路に再投入して、貨物・旅客市場におけるシェアを10%に拡大するものと見られている。シーズン・オフの観光市場には拡大の余地がある。

 

<シチリア>

1990年代初期におけるTirreniaの“Via Mare”とGrimaldi/GNVのRoPaxクルーズ・フェリー・サービスの開始によって、北イタリア発着の長距離道路輸送量のかなりの部分が海路に移った。貨物輸送の伸びは1993年以降鈍化したが(年率+4%)、GNVはTirreniaのVia Mareとアドリア海サービスから相当の輸送量を獲得している。GNVの大型高速化した新造RoPax2隻は2002/3年に引渡し予定で、これにより海上貨物輸送量は30%の伸びを達成するものと見られ、また北イタリア/シチリア間の貨物輸送で海上輸送のシェアは50%近くに拡大するものと見込まれる。GNVはさらに長距離道路・鉄道輸送と航空輸送(1995年にはシチリア発着の旅客は400万人に及んだ)からも旅客を獲得していて、新型高速RoPaxの投入により同社の輸送量は25-33%の拡大が見込まれる。RoPaxの第4船(リボルノ寄港は第2船)が投入されれば、拡大はさらに進むであろう。

 

d. イタリア/スペイン

ジェノバ/バルセロナ航路でGrandi Navi Velociが1998年秋にRoPax及びRoRo、いずれも毎日1便の運航を開始し、1999年には旅客8万名、乗用車12千台、トレーラ27千台を輸送している。ジェノバ/シチリアに倣った「海のハイウェー・サービス」はイタリア/スペイン航路独自のものだが、Grimaldiはナポリ/バレンシア間に商用車/トレーラRoRoサービスを展開している。

GNVでは、海のハイウェー・サービスの市場規模をトレーラ35万台前後と見ていて、この見通しに基づいて大型のA3型RoPax第2船を同航路の船隊に加える予定としている。また、これにより年間15万名を超える旅客増も見込んでいる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION