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このため、以下のような各種の生産性向上措置が実施された。

 

・2交代制の導入:1991年1月にシチェチン造船所で、次いで95年末近くにグディニア造船所で採用された。

・労働賃金算定方法の変更:ポーランドの各造船所は固定給与体系ではなく「出来高払い」方式の方向に動き出した。

・「生産ライン」の流れの円滑化を目的とした作業方法の修正:例えばグディニア造船所では、1995年に100トンまでのブロックを清掃、塗装するための新築の工場が稼動を開始した。従来はこの種の作業が造船所内のあちこちで個別に行われていたため、これにより作業の流れが改善され、建造期間が短縮された。

・下請労働者の活用拡大:しかしながら、これにより社内工が削減された例はあまり見られない。それどころかシチェチン造船所などでは建造量が増加したため、さらに追加人員の採用が必要となった。

 

調達方針:

共産主義体制の時代には、外貨の逼迫からポーランドの造船業は必要な鋼材と舶用機器の大半を国内産に依存せざるを得なかった。一部の国内サプライアーは納期を守らないことが多く、そのため船舶の納期に遅れが生じた。これによりポーランド造船は信頼性の点で不評を招き、東欧圏外のライバル造船所に対して不利な立場に陥った。しかし90年代が進むと共に、外貨事情が好転し、西側から資材を調達するのも容易になった。ポーランドの造船所は、特にドイツからの舶用機器購入を増加させた。西欧製の資機材にアクセスが確保されたことから、船舶の艤装に当たって国内調達機器の品質に制約されることがなくなった。

 

調達方針をさらに厳密に管理することを目指して、シチェチン造船所は90年代半ばから部品メーカー各社の株式を取得する戦略を展開した。1999年6月30日現在、シチェチン造船所は少なくとも22社の株式を保有、資本参加先の業種は農産物加工、保険、旅行、燃料卸売りと多岐にわたっている。

 

調達方針に関連する事項として、1990年代には、比較的大規模な造船所から中小の専門企業に一部の作業を下請に出す例が増加したことがあげられる。

 

 

 

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