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要約

 

1. 第2次世界大戦後、ポーランドの造船所は共産党の新政権の下、国有化されて再編成された。国内の造船事業、その他の海事関連事業の多数がグダンスクとグディニアに集中していた。

2. ポーランドでは共産党支配の下、造船は主要な外貨収入源であり、雇用の創出源であった。ポーランドの造船所は広く東欧圏の船主の需要に対応し、特にソ連向けに漁船を建造していた。

3. ポーランド建造船は軟鋼の使用比率が非常に高く、堅牢な構造に定評がある。近年までポーランド船に対する市場の認識は、他国で建造された船舶と比較して技術的な洗練度が劣るというものだったが、そのマイナス評価をこの堅牢性が埋め合わせ、市場における地位を強化している。

4. ポーランドの建造量は世界的な新造需要の低下、対外競争の激化、造船所近代化の必要性により1986年以降落ち込んだが、その後1990年代初頭以来、力強い回復を示している。

5. 1990年当時のポーランドの竣工量では冷蔵船、RO/RO船が最大の比重を占めていたが、90年代半ばにかけてはコンテナ船が主流となった。以後、計画的な多角化により、建造船種の範囲は拡大している。

6. ポーランドの竣工量は90年代を通じて着実な伸びを示し、98年には過去20年間で最高の670,000GTに達した。96年以降、GTベースでポーランドはヨーロッパで第2位の造船国となっている。

7. 90年代における建造量の増加は、ポーランドの各造船所が既存の設計を積極的に市場のニーズや特定の船主の特定の選考に応じて修正したことによるものである。

8. 99年の速報データによると、ポーランドにおける年間建造量は95年以来最低の水準の580,000GTに減少したものと思われる。この落ち込みの煽りを受けたのがStocznia Szczecinska(シチェチン造船所)で、建造量は98年の360,000GTから260,000GTに減少、一方Stocznia Gdynia(グディニア造船所)の99年の竣工量は前年の270,000GTから280,000GTと微増を示した。

9. 1990年以降のポーランドにおける新造船活動の著しい上昇にもかかわらず、各造船所の債務は急増を示し、90年代初期から半ばにかけて、主要造船所はいずれも深刻な経営難に陥っている。

 

 

 

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