4.2 円借款の再開
99年9月24日、日本政府は30年ぶりにカンボジアへの円借款を再開した。日本は1969年、ダム建設事業向けに円借款を供与して以来、内戦や政情不安を理由に中断していた。円借款は、カンボジア唯一の深海港シアヌークビル港の拡張事業に使われ、総額41億4200万円。本格的拡張工事は同港が1960年に開港して以来初めて。地元英字紙「カンボジア・デイリー」が報じた拡張計画によると、埠頭が350メートルから590メートルに、コンテナヤードが3万平方メートルから6万平方メートルに拡張される。また、コンテナ・ターミナルも新設される。2003年に工事終了予定。総事業費は4,300万米ドル。
おわりに
将来を不安視されたフンセン政権も、ASEAN加盟を果たし、このところは国内的にも安定しているように見える。経済政策は開放政策を取り、経済的自由を大幅に認めるものになっている。外国企業では、香港、台湾系企業、東南アジアの華人系企業が特に目立つ。プノンペンは、華人の国際ネットワークに取り込まれて、経済が活発になっている印象を受けた。
最近の識者の予測では、現在東南アジアの最貧国グループに入っているカンボジアも、経済金融危機から抜け出しつつあるタイ経済に組み込まれ、30年後にはインドネシア等の国を追い抜き中進国としての地位を築くとの見方もある。遠い昔のクメールの栄光の復活も、広大な平野に広がる水田、プノンペンの活気をみていると、夢ではないような気がする。