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(2) 船舶修繕部門

1998年の船舶修繕部門は、域内の経済が低迷していたにもかかわらず、比較的良好であった。

1998年の船舶修繕部門の売り上げは、19億9千万シンガポールドルと、前年の15億5千万シンガポールドルに対して4億4千万シンガポールドル増加した(対前年比28.4%増)。これには、改造工事が含まれ、付加価値の高いものが多くなっている。

修繕のためシンガポールに入港した船舶の隻数も増加した。シンガポール海事港湾庁(Maritime and Port Authority of Singapore, MPA)の統計によれば、1998年にシンガポールに修繕のため訪れた船舶は、2,901隻、2,844万総トンであった。これは、前年に対して、隻数ベースで15隻、総トンベースで140万総トンの増加であった。このうちおよそ半数の1,426隻が修理のためだけを目的にシンガポールに入港した。これは、前年に比べて106隻の増加である。また、全体の35%は、2の目的(修理および荷役)のためシンガポールに入港している。

また、シンガポールドルの下落のため、VLCCの修繕が増加した。仕事の価値も高くなった。1998年のVLCCの修繕隻数は、94隻であった。これは昨年の78隻に比べ16隻の増加であった。

97年に引き続き98年も、改造工事は、修繕部門での主要な部門となっている。FSOやFPSOへの改造工事が、数多く行われた。クルーズ客船の改造工事もシンガポール造船業において重要性を増した。このような分野において、シンガポール造船業は技術を蓄積しつつある。

 

表2 入渠船舶数(1991-1998年)

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出所) Singapore Port Statistics:海事港湾庁(Maritime & Port Authority of Singapore)

 

(3) 新造船部門

1998年の新造船部門は、低迷した。

新造船部門の売り上げは、9億1千8百万シンガポールドル。進水した船舶の隻数は、1997年の130隻から25%減少して、97隻となった。総トン数ベースでも大きく減少して、1997年の241,096総トンから129,497総トンとなった。

引き続き作業船が最も多く、隻数ベースで全体のおよそ60%を占めた。進水した作業船(バージ、タグ、サプライ・ベッセルを含む。)は、58隻。

 

(4) オフショア部門

リグ建造分野は、オフショア石油ガス産業の業況が上向きで、98年前半のリグ稼働率が高レベルであったこともあり、好調であった。

 

 

 

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