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2-4 造船産業における最近の合併事例

 

本セクションでは、過去1年ほどの間に起こった米国造船業における集約統合の代表的事例として、1)ジェネラル・ダイナミクスによるNASSCO買収、2)リットン・インダストリーズによるアボンデール・インダストリーズ買収、3)Friede Goldman Internationalによるハルター・マリン・グループの買収の3件を取り上げ、それぞれの事例について、集約統合の背景・経緯及びその狙い等を詳説するとともに、集約統合が企業や地域雇用に与える影響、集約統合後の課題、今後の事業戦略に関する見通し等を考察することとする。

 

(1) ジェネラル・ダイナミクスによるNASSCO買収

1998年10月、ジェネラル・ダイナミクスは、1990年代半ばから進めている国防事業基盤強化の戦略の一環として、NASSCO(カリフォルニア州サンディエゴ)の買収契約を締結した。

 

(NASSCO買収に至るまでのジェネラル・ダイナミクスの事業戦略の推移)

ジェネラル・ダイナミクスは、1952年4月24日に設立され、ワシントン郊外のバージニア州フォールス・チャーチに本社を置く国防契約企業である。同社は現在、1]舶用システム、2]戦闘システム、3]情報システム・情報技術、4]航空機(ビジネスジェット)の設計・製造という4つの事業の柱を有し、年商は約50億ドルにものぼる。米国、カナダ、メキシコ、英国で合計44,000人の従業員を抱えている。

 

ジェネラル・ダイナミクスの前身は、1899年に創立された潜水艦建造企業である旧エレクトリック・ボート社である。同社が1940年代後半から航空機製造会社の買収等により事業の多角化を図ったことや、1950年に原子力潜水艦建造について海軍と合意に達したことをきっかけに、1952年にジェネラル・ダイナミクスが設立され、これに伴いエレクトリック・ボート(コネチカット州グロトン)は同社の潜水艦建造部門となった。以降のさらなる買収による事業の多角化・拡大により、ジェネラル・ダイナミクスは米国トップ5に数えられる国防契約企業となり、1980年代末には従業員数が105,000人に達した。

 

 

 

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