第5章 インドネシア造船関連産業促進に向けての課題
5.1 造船関連工業会
工業省(Department of Industry)が、世界市場に向けて新造船の輸出を促進する上で、インドネシアにおける造船関連産業の発展が必要不可欠であると認めたのは、つい1993年2月のことであった。この問題に対処するため、造船関連産業団体を別途設立することにより、インドネシアに強力な舶用機器製造業者グループを作り上げ、以下のごとく競争力を高めることが期待されている。
a. 造船及び修繕価格の引き下げ
b. 新造または修繕の納期の短縮
c. 外国製品への依存度を引き下げ、外貨の浪費を削減する
d. 高度技術の吸収、移転、並びに人材開発
一方、インドネシア造船・オフショア産業協会(IPERINDO: Indonesia Shipbuilding and Offshore Industries Association)は、前に触れたように造船関連産業には以下のような弱点が依然存在することを認めている。
a. 輸入資材への高い依存度
b. 社内における研究開発(R&D)能力の欠如
c. 教育及び訓練の不十分な労働者
d. 規律正しい労働者の不足
e. 社内における訓練能力の欠如
第2章で触れたように、IPERINDOは造船関連産業が以下の3つに分類できることを指摘している。
区分1:船舶関連製品のみを生産している企業
区分2:船舶関連製品を主に生産しながら、船舶関連以外の製品も生産
区分3:基本的に船舶関連以外の製品の生産に従事しているが、注文に応じて船舶関連製品も生産
最近の経済危機の中、何社かの企業は方向を転じて別の製品を生産することにより危機の克服に成功している。それまで主に舶用エンジンを生産していた企業は現在、同じ設備を使い経験を生かすことにより、船舶用ばかりでなく他の産業機械用エンジンの組立品や部品も生産している。こうして、国内向けあるいは輸出向けの新製品が生み出された。